公益財団法人 日本漢字能力検定協会

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今、あなたに贈りたい漢字コンテスト

第10回「今、あなたに贈りたい漢字コンテスト」表彰式の様子

総評

2022年度も5万人に近い応募がありました。漢字一字に、みなさんの痛切な思いが込められていることを肌で感じることができました。それは応募作品の漢字ランキングを見ればよくわかります。上位5位は、「感」「謝」「笑」「楽」「愛」です。長引くコロナ禍で辛い日々を送っていても、人々への感謝の気持ちを忘れず、明るく、楽しく、前向きに生きようという決意さえ見えるのです。
絆大賞や審査員賞の受賞作以外にも、多くの心打たれる作品がありました。たとえば中学生部門の「癒」です。仕事中に腕を骨折し、家にいるお父さん。お母さんには「たまに会うぐらいがいいな」と言われ、癒やしになっていた飼い猫にも逃げられてしまう。そんなお父さんに「癒」を送る。一人の父親として涙なしに読めませんでした。(審査員長 橋本五郎)

受賞作品・団体

絆大賞

かみさまへはせ れなより「止」

長谷 怜愛 さん
(千葉県・6歳・千葉市立高浜第一小学校)

かみさま、このかんじをあなたにおくりたいです。いま、せかいのみんなをこまらせるコロナとせんそうを止めてください。そして「止」に一本のせんをひいて「正」にかえて、せかいをただしくもどしてください。せかいのみんながしあわせにくらせますように。

受賞者コメント

大しょうをもらったときいてとってもうれしかったです。
わたしはクリスチャンなので、まい日おいのりをしています。コロナとせんそうのことについてもおいのりしました。
「止」というかん字はママからおしえてもらいました。「正」というかん字とにてることに気づきまして、さく文にしようとおもいました。
かん字はまだむずかしいけど、ならうとおもしろいなとおもいます。

審査員からのコメント

れなさん、あなたの「止」にこめたねがいに、とてもかんどうしました。せかいをおそっているコロナとせんそうがなくなれば、みんながしあわせになるのに、というきもちがよくあらわれているからです。みんながそうおもってくれるとほんとうにいいですね。おじさん(おじいさんかな)は、れなさんのおねがいをききながら、わたしたちおとなは「正」しいよのなかにするためにもっともっとどりょくしなければいけないよと、れなさんにしかられているようにおもいました。ありがとう。(橋本五郎)

日本漢字能力検定協会賞

お父さんへはるとより「守」

江崎 遥斗 さん
(佐賀県・9歳・鳥栖市立鳥栖小学校)

天国では元気ですか。ぼくは元気です。お父さんのかわりにお母さんをまもるために空手を習い始めました。お父さんはいつもぼくの心の中にいます。これから、いっしょに家族をまもっていきます。

受賞者コメント

賞をもらってとても嬉しかったです。この言葉がお父さんに伝わったら嬉しいです。僕はお母さんをお父さんのかわりに守り助けたいと思って空手を習い始めました。僕が5歳の時にお父さんが亡くなってとてもさびしかったけど、お父さんがいた時の思い出はたくさんあります。とても僕の事を愛してくれて自転車の練習に付き合ってくれたり、野球を教えてくれたり一緒によく買い物に連れて行ってくれて僕が欲しいものを買ってくれました。その事を今も大切に覚えています。これからは、お父さんのかわりにはなれませんがお父さんの思いを僕が守っていきたいと思ってこの漢字を書きました。

審査員からのコメント

守という字は、家を表すうかんむりに手を表す寸からなり、家の中で何事かを行うということから、まもるの意となった字だそうです。
はると君が書いてくれた字は、家がで~んと大きく立派です。
亡くなってしまったお父さんの代わりにお母さんをぜったいに守るんだという強い意志(いし)を感じます。心の中にいるお父さんとともに、家族を守る大黒柱(だいこくばしら)に育ってほしいと願います。(山崎信夫)

審査員賞

ママへ壮右より「草」

大野 壮右 さん
(埼玉県・8歳・桶川市立朝日小学校)

「また生えてきた。」夏のにわは草だらけ。ママはあせをかきながら草をむしる。ママ、そんなにがんばらなくていいよ。だって、ぼくは虫がすき。草がなくなったら、バッタやカマキリたちがいなくなる。ぼくのこん虫ランド、のこしといてね。

受賞者コメント

ぼくの作品が審査員賞にえらばれたと聞いてびっくりしました。
とてもうれしいです。ありがとうございます。
ぼくは、毎年川原でカマキリのたまごをかれ草ごととって来て、にわの木にはり金でくくりつけます。すると、春のあたたかい日に、たまごからニョキニョキと赤ちゃんが出てくるのが見られるんです。すぐに小さな小さなカマキリになってちらばって行きます。ときどき草の中から成長したカマキリを見つけるとうれしくなります。だからママが草むしりを始めるとヒヤヒヤします。でも、賞をもらえてママも喜んでいるので、ぼくのこん虫ランドはママから守られそうです。

審査員からのコメント

壮右くん、きみのこん虫を愛するきもちとやさしさがよくでています。こん虫にとっては草がなくなると、食べものやすむ家、かくれるところがなくなってしまうもんね。でも、ママのきもちもわかってあげてくださいね。ママは、草がいっぱいはえていると、蚊(か)がはっせいして、壮右くんがさされはしないかとしんぱいしているかもしれませんよ。あるいは、にわはきれいにしておかなければいけないよと壮右くんにおしえようとしているのかなともわたしはおもうんです。おかあさんってたいへんなんですよ。(橋本五郎)

妹へ私より「笑」

宮後 優花 さん
(大阪府・10歳・東大阪市立八戸の里東小学校)

妹は、いつもニコニコ笑ってくれます。私が元気のない時、不安な時、悲しい時、いつも「だいぶーぶだいぶーぶ。」と、私の頭をなでながら、笑顔で言ってくれます。私は、その度に、元気をもらいます。妹は、まるで天使です。だから、いつも笑う妹にこの漢字を送ります。

受賞者コメント

担任の先生から、クラスの中に受賞した者がいると聞いて、それが私だと発表された時はおどろきました。そして、とてもうれしく思いました。
私は三姉妹の長女で、一番下の妹は3歳です。少しずつ言葉を覚えてきて、お話しするのがとても楽しいです。
塾のテストの点が悪かった時や疲れた時に、はげましてくれたり笑ってくれたりすると、本当に元気が出ます。
時々けんかをすることもあるけれど、妹の笑顔は、いつも私や家族を笑顔にしてくれます。妹がもう少し大きくなったら、この作品を見せたいと思います。
本当にありがとうございました。

審査員からのコメント

優花さん、「笑」にはいろいろな笑いがあります。ほんとうはうれしくない「苦笑」というのもあります。でも、あなたの「笑」は心からの幸せの笑顔です。私にはうるわしいふたりのすがたがはっきり見えます。ふつうならお姉さんが妹さんの頭をなでながら「大丈夫、大丈夫」と言いますね。ところが、あなたのばあいは逆です。そこに、まだじゅうぶんはなすことができなくとも、ほんのうてきに姉をおもいやる妹と、そんな妹をたまらなくいとおしいと思う姉の「姉妹愛」がうかびあがってきます。いつまでも仲良くしてくださいね。(橋本五郎)

祖父へ私より「声」

後藤 優里 さん
(熊本県・12才・合志市立西合志南小学校)

私の祖父は病気で喉に穴が開いていて声が出ません。祖父は笑顔で話してくれるけど何を言っているか分かりません。祖父が亡くなり日記を見ると孫と話せない悲しみと同時に私の励ましが喜びになっている事を知りました。祖父と話せていた事を初めて知りました。

受賞者コメント

まさか私の書いた作品が、このような素晴らしい賞を取ることができるとは思ってもいませんでした。すごく嬉しいです。また、祖父が病気になり、亡くなったことはすごく悲しかったけど、賞がもらえたことは祖父のおかげなので感謝したいと思います。祖父も天国で喜んでくれていると良いなと思います。

審査員からのコメント

優里さん、お祖父さんの日記を読むことができてよかったですね。お祖父さんはきっと孫のあなたに言いたいことがいっぱいあったでしょうね。それを言えないつらさはどんなに深かったでしょう。でも、あなたはお祖父さんが亡くなったあとですけれど、日記を読むことでお祖父さんの本当の気持ちを知ることができました。あなたに感謝していることも知りました。そうです。会話はなくとも、相手を思いやる気持ちがあれば、心は通じるのです。そのことはあなたの一生の財産になるに違いありません。(橋本五郎)

佳作

  • 一岡 美央莉 さん
    (奈良県・11歳・奈良市立伏見小学校)
  • 越智 悠一郎 さん
    (埼玉県・7歳・川越市立中央小学校)
  • 加藤 鉄士 さん
    (千葉県・6歳・八千代市立南高津小学校)
  • 後藤 陽生 さん
    (大阪府・11歳・大阪市立大江小学校)
  • 新藤 輝琉 さん
    (埼玉県・12歳・さいたま市立浦和大里小学校)
  • 諏訪田 康介 さん
    (新潟県・11歳・長岡市立上組小学校)
  • 舘野 仁 さん
    (東京都・10歳・洗足学園小学校)
  • 杢三 ひなの さん
    (和歌山県・12歳・橋本市立城山小学校)
  • 森 俊介 さん
    (埼玉県・10歳・川口市立戸塚北小学校)
  • 森寺 結彩 さん
    (千葉県・6歳・松戸市立中部小学校)

二次審査通過者

  • 石倉 ほのか さん(近畿大学附属小学校)
  • 井上 駿 さん(大阪市立弁天小学校)
  • 岩井 彩希 さん(横浜市立牛久保小学校)
  • 岩佐 心花 さん
  • 加藤 暖人 さん(江差町立江差小学校)
  • 日下部 篤宥 さん(レインボーキッズ)
  • 小嶋 菜緒 さん(野田市立北部小学校)
  • 島津 実永 さん
  • 嶋村 凜 さん
  • 関 小雪 さん(宇都宮市立御幸小学校)
  • 関根 凰太 さん(久喜市立青葉小学校)
  • 髙橋 文太 さん(青山学院初等部)
  • 髙畠 心玖 さん(七田式 東海教室)
  • 中田 橙志 さん(足利市立南小学校)
  • 西谷 櫂蒔 さん(三鷹市立第六小学校)
  • 野本 愛結 さん(桶川市立朝日小学校)
  • 濱田 優里 さん(大阪市立弁天小学校)
  • 林 咲都希 さん(京都教育大学附属京都小中学校)
  • 平松 美月 さん(青山学院初等部)
  • 伏見 由奈 さん(朝霞市立朝霞第六小学校)
  • 星野 結衣 さん(リトルランド)
  • 堀内 晋太郎 さん(市川市立妙典小学校)
  • 水谷 綺希 さん
  • 水野 陽智 さん(下関市立王司小学校)
  • 三原 寿々葉 さん(塾式COSMO)
  • 安田 彩乃 さん(敬愛小学校)
  • 山田 唯織 さん(えんぴつマン)

絆大賞

妹へお兄ちゃんより「甘」

射手矢 優太 さん
(佐賀県・14歳・成穎中学校)

僕は玉子焼きを作るのが得意です。「にいにの玉子焼きは甘くておいしいよ。」と妹が言ってくれます。妹に作ってあげる時は、いつもよりちょっぴり砂糖を多目に入れています。おいしいと言ってくれる妹の笑顔を見ると幸せになります。僕は妹に甘いなと思います。

受賞者コメント

この度は、絆大賞にご選出いただき誠にありがとうございます。
僕は今まで沢山の漢字を学んできました。
今回応募するにあたり、どの一文字を選ぼうか、とても迷いました。そして今の自分の気持ちを素直に表すことができる「 甘 」にしました。
受賞の知らせを聞き非常に驚きました。学校の先生方、友人、家族みんなも喜んでくれ嬉しかったです。
これからも色々な漢字と出会うのが楽しみです。そして、その時々の自分に合う漢字一文字を発見出来ればと考えています。
今度は妹と一緒に卵焼きを作り、祖父母や両親にも食べてもらいたいです。

審査員からのコメント

手作りの卵焼きの美味しさに、妹さんの笑顔。まさしく「甘」という漢字がぴったりですね。
口に食物をはさむ様子を表したといわれる「甘」ですが、味覚の他にも心の満足や喜びも表現できる一文字となっています。兄と妹、お互いを想う気持ちがふんわりと優しく伝わるエピソードにこちらまで心が甘くなりました。
どうぞいつまでも仲の良い二人でいてくださいね。(やすみりえ)

日本漢字能力検定協会賞

お母さんへ私より「拾」

牧野 心春 さん
(京都府・12歳・亀岡市立南桑中学校)

お母さんって私の色々なものを拾ってくれるよね。ぽろっとこぼした愚痴も。脱いだままの靴下も。勉強中の「分からん」という声だって。どんな些細な事でも拾ってくれるお母さんに声をかけるたび、心がほっとするよ。でも拾いすぎは注意。疲れちゃうからね。

受賞者コメント

この度は素敵な賞に選んでいただき、ありがとうございます。
先生から受賞した事を聞いた時は「嬉しい!」と思いましたが、先生が戸惑いながら「これ、すごい賞だよ…」と言った時、私は驚きで学校なのに叫んでしまいました。
「拾」は私の生活にぴったりの漢字です。お母さんは私が勉強が分からない時に言う「分からへん…」という決まり文句を聞き逃しません。すぐに教えに飛んで来てくれます。
でも、たまーにお母さんとの間に流れる気まずい空気の中で、いつもの決まり文句を言っても来てくれません。それが予想以上に悲しいのです。だから当たり前に拾ってくれる事が嬉しいです。ですが、あまり拾いすぎないように注意してもらいたいです。私はお母さんや家族が大好きです。
私の作品を選んで下さった審査員の皆様、本当にありがとうございます。

審査員からのコメント

心春さんのお母さんはとっても素敵な方なんでしょうね。
子供のことをいつでも気にかけ、見守ってくれている。だから心春さんからふと漏れる小さな声も聞き逃さず、脱いだままの靴下を片付けるかのように拾ってくれる。なにからなにまで拾ってくれる。
そんなお世話になりっぱなしの心春さんの、「でも拾いすぎは注意。疲れちゃうからね。」とまるで他人事のような言い回しに、中学生らしさを感じ、つい笑ってしまいました。
良い家族の、ほのぼのとした日常を感じさせていただきました。(山崎信夫)

審査員賞

家族全員へ颯士より「和」

小泉 颯士 さん
(福岡県・12歳・北九州市立洞北中学校)

ぼくは最近お母さんと喧嘩をした。弟にも嫌なことを言ってしまった。でも、次の日にはみんな和やかな雰囲気になって楽しくごはんを食べた。家族って不思議だな。これからも平和で、和やかな家族でいられるように、思いを込めてこの漢字を贈りたい。

受賞者コメント

僕は、先生からこの作品で受賞したと聞いた時、とても驚きました。
友人、家族にも喜んでもらえてうれしかったです。「和」の漢字を選んだのは、つい弟とけんかしたり、言い合いをしてしまうけれど、本当はいつも家族と和やかに過ごしたいと思ったからです。どんなに怒っても、次の日には笑い合えるのはやっぱり家族だからだと思います。文章を書くのは苦手だったけど、素直な気持ちを書いてみて、選んでもらえたことで、これからの自信につながると思います。また、僕の祖母は2人いますが、2人とも名前に「和」が入っています。この2人の祖母もこの受賞を喜んでくれると思います。これからも、「和」の心を大切に過ごしていこうと思います。素敵な賞をありがとうございました。

審査員からのコメント

家族への素直な気持ちを込めてこの一字を選んでいます。家庭内の「和やか」「平和」を願う気持ちもよく伝わってきました。一説には、人の声と声が調和する「なごむ」を意味するところからこの漢字は成り立ったとも言われているように、とても人間味のある一字だと感じます。喧嘩や、嫌な事を言ってしまっても、家族ならではの「和」が颯士さんを包んでくれていますね。(やすみりえ)

未来の私へ今の私より「虹」

諸林 花琉 さん
(群馬県・14歳・太田市立太田中学校)

「虹を見たければ、ちょっとやそっとの雨は我慢しなくちゃね。」アメリカの女優さんが言った言葉だ。今の私は、人間関係や部活動など心の中に雨が降ることもあると思う。けれど雨が止むように心の雨もきっと止む。私はその時心の中に虹がかかっていると信じたい。

受賞者コメント

『虹を見たければちょっとやそっとの雨は我慢しないとね』この言葉はアメリカの女優で歌手でもあるドリー・パートンの言葉です。彼女は2020年にコロナウイルスが流行し始めた時、ワクチン開発に1億円を寄付したそうです。私はこのことを知って、虹という明るい希望に満ちた未来を見るためには雨も我慢しなければならない。でも、自分1人で我慢しなくても良いんだと思いました。周りの家族、友達、先生などと助け合っていけば良い。彼女の寄付はワクチン開発に大いに役立ち、開発されたワクチンでたくさんの人々を救いました。『困った時はお互いさま』皆で助け合って生きていけば、たくさんの人が虹を見ることができるのではないでしょうか。この度は審査員賞という素晴らしい賞を頂けてとても嬉しいです。ありがとうございました。

審査員からのコメント

この言葉はドリー・パートンという女優の言葉なんですね。心に響く言葉と出会えるのはとても幸せなことだと思います。私も学生時代に過去の偉人の遺した名言集を何度も繰り返し読んだことがあります。「虹」が虫偏なのは、竜になる大蛇が大空を貫くときに作られるものが「にじ」だという古代中国の考え方に由来するそうです。新しい変化をイメージさせる「虹」、心に架かるといいですね。(やすみりえ)

兄貴へ弟より「真」

吉村 裕明 さん
(愛知県・14歳・江南市立北部中学校)

僕と兄貴は、血の繋がりがない、いわゆる義理の兄弟です。でも、出会った当初から互い抵抗はなくまるで、初めて会った気がしませんでした。勿論、喧嘩も沢山したけれど、確実に楽しく笑い合った時間の方が長いと思う。僕はそんな兄貴との関係を真の兄弟だと思う。

受賞者コメント

この度は審査員賞に選んでいただき、誠にありがとうございます。正直、今になっても信じられません。
最初、先生からこの賞を受賞したと伝えられた時、何のことかよく分からず、理解するのに時間がかかりました。しかし、兄貴は勿論、親ですら言ってなかった気持ちを「あなたに贈りたい漢字コンテスト」を機会に文章として書き表せたことをとても嬉しく思います。
この「真」という漢字には「まこと」や「ほんとう」という意味があります。僕と兄貴のように実際には血の繋がりのない義理の兄弟でも、心は互いに繋がっている、血の繋がりよりももっと分厚い「絆」で繋がっています。僕は、この関係を誰がなんと言おうと紛いもない「真」の兄弟だと胸を張って言うことができます。恥ずかしくて、ずっと兄貴に言えなかったことを伝えられる機会をくださり、ありがとうございました。

審査員からのコメント

人と人の縁ってほんとうに不思議です。血の繋がりはなくても「真の兄弟」と思えるお兄さんとの出会いはかけがえのないものだと思います。「真」は、もとの漢字を「眞」と書きます。「匕」と「鼎」の組み合わせなのだそうですが、これはスプーンと容器を表しているとのこと。器に大切な食べ物が満たされるように、人の心が愛情で満たされるってとても幸せなことです。「真の兄弟」と感じるその心は、しっかりと愛で満たされていますね。(やすみりえ)

佳作

  • 綾田 樹弥 さん
    (福岡県・13歳・福岡市立平尾中学校)
  • 逢坂 華枝 さん
    (青森県・15歳・青森市立筒井中学校)
  • 乙坂 夏生 さん
    (埼玉県・14歳・さいたま市立桜山中学校)
  • 北里 璃子 さん
    (東京都・13歳・トキワ松学園中学校)
  • 田中 ひより さん
    (神奈川県・12歳・川崎市立塚越中学校)
  • 野村 杏 さん
    (群馬県・13歳・渋川市立北橘中学校)
  • 福田 正雄 さん
    (大阪府・12歳・関西創価中学校)
  • 松浦 奏一朗 さん
    (大阪府・12歳・枚方市立枚方中学校)
  • 水嶋 咲菜 さん
    (岡山県・12歳・岡山市立竜操中学校)
  • 和田 百華 さん
    (東京都・15歳・大田区立貝塚中学校)

二次審査通過者

  • 青木 琉晟 さん(下呂市立萩原北中学校)
  • 池田 創思 さん(函館市立北中学校)
  • 大堀 蓮翔 さん(関西創価中学校)
  • 織田 唯花 さん(大田区立貝塚中学校)
  • 金子 幸明 さん(春日市立春日東中学校)
  • 亀頭 悠太 さん(さいたま市立大谷場中学校)
  • 河野 詩音 さん(東京国際フランス学園)
  • 菊 輝斗 さん(古河市立古河第三中学校)
  • 桒原 碧衣 さん(大田区立貝塚中学校)
  • 財満 晴人 さん(W早稲田学習研究会 高崎西校)
  • 佐々木 隆乃介 さん(訓子府町立訓子府中学校)
  • 佐藤 駿 さん(名古屋市立神沢中学校)
  • 重成 奏良 さん(帯広市立帯広第四中学校)
  • 清水 孝太朗 さん(練馬区立北町中学校)
  • 杉浦 心花 さん(太田市立太田中学校)
  • 杉山 大悟 さん(川上村立川上中学校)
  • 鈴木 紀々香 さん(太田市立太田中学校)
  • 徳田 麻子 さん(西南学院中学校)
  • 中林 愛桜理 さん(北区立十条富士見中学校)
  • 永安 日和菜 さん(姫路市立書写中学校)
  • 番野 朔太郎 さん(関西創価中学校)
  • 前鶴 萌那 さん
  • 宮坂 しずく さん(大磯町立大磯中学校)
  • 森 健心 さん(大田区立貝塚中学校)
  • 山口 彩月季 さん(富山市立藤ノ木中学校)
  • 大和 憲太郎 さん(西南学院中学校)
  • 若林 永都 さん(江南市立北部中学校)

絆大賞

おじいちゃんへ私より「充」

小関 春花 さん
(福岡県・16歳・福岡県立朝倉東高等学校)

昔から心臓が悪くペースメーカー手術をしたおじいちゃん。普段弱音を吐かないのに、手術後は「じぃじ、ロボットになっちゃった」と悲しげに言っていたのを覚えています。おじいちゃんがロボットなら私はいつも笑顔にできる充電器のような存在になりたいです。

受賞者コメント

この度は、「絆大賞」に選んでいただき、誠にありがとうございます。先生から受賞を聞いたときは、まさか受賞できると思っていなかったので、戸惑いはありましたが、それと同時に喜びが込み上げ、帰宅後すぐに家族に報告しました。日頃、家族に自分の想いを伝えることが少なかったので、「この機会に!」と一番お世話になっている祖父へ手紙を書くことに決めました。高校生になり祖父と話す時間が減ってしまい、祖父の笑った顔がなかなか見られなかったため、いつまでも元気でいてほしい、という想いを込めました。祖父に受賞を知らせると、すごく喜んでくれました。少し恥ずかしさはありましたが、自分の気持ちを伝えることができて良かったです。

審査員からのコメント

「充」の字は体力・気力に満ちたふっくらと肥えた人の姿形を象(かたど)ると字典にはあります。
ここには漢字が発明された古代中国における豊かさが描かれているのだと思います。
春花さんの文章からは、おじいちゃんと「私」とのとても親しい関係性が読み手に切々と伝わってくるようでした。
「ロボットになっちゃった」というおじいちゃんのことばを引き受け、現代を生きる私たちにとって、もはやなくてはならない必需品となっている充電器を思いついた「私」。
現代の日常で、充電器に満ちるものが繋ぐさまざまなことを「充」の字を通じて、伝えてくださった春花さんのユニークな視点に絆大賞を贈ります。(華雪)

日本漢字能力検定協会賞

クラスのみんなへ私より「顔」

福留 葵 さん
(鹿児島県・15歳・鹿児島情報高等学校)

マスクをつけていると、怒った顔も、笑った顔も分からない。だから、私はいつも悲しい顔をする。でも、今の状況が変わって、みんなの顔が見えるようになったら、小学生ぶりに「にらめっこ」がしたいと思う。幼稚かもしれないが、きっと最高に楽しいはずだ。

受賞者コメント

この度は、このような賞を頂き、大変嬉しく思います。私の作品を評価してくださった審査員の皆様、本当に有り難う御座います。
誰にどんな漢字を贈ろうかと考えたときに、1番はじめに浮かんだのが、クラスのみんなの顔でした。中学の頃はあまり人と話せず、俯いてばかりだったので、優しく手を差し伸べてくれた今のクラスメイトには感謝しています。
顔をあげると、気持ちが明るくなったと同時に色々なことに気付きました。笑った顔も悲しい顔も怒った顔もその人をつくり、人と人を繋ぐ大切なものです。
そして、作品の中に書いてある「にらめっこ」はみんなで笑い合った思い出深い遊びです。私たちだけではなく、たくさんの人がもう一度、お互いの顔をみて心を通わせることができればいいなと思います。

審査員からのコメント

確かに!にらめっこしたいですね。
マスクを取って、できるだけ面白い顔を作って、なにもかも忘れて、腹の底から大笑いしたいですね。
幼稚だなんて思いません。
人は喜怒哀楽の感情をもった高度な動物です。人は、他人がどう思っているのか、どう感じているのかということを、その人の言葉だけでなく、表情や仕草などをたよりに読み取りながら、その人との人間関係をうまく築こうとするものです。表情が見えない、分からないでは、不安になり、悲しい顔になってしまいますよね。
コロナ禍の今の状況にあって、ほぼすべての方から共感が得られる作品ではないかと思います。(山崎信夫)

審査員賞

将棋の仲間へ私より「飛」

嘉藤 優斗 さん
(福岡県・15歳・大牟田高等学校)

福岡将棋会館の皆、元気ですか?私が将棋会館に行けなくなってから二年がたったけれど、皆のことをよく思い出します。私が皆に贈る「飛」は、将棋の駒の中で最強の「飛車」の字です。将来、最強のプロ棋士になった皆を見てみたいです。心から応援しています。

受賞者コメント

この度は審査員賞をありがとうございます!受賞を聞いて、ただただ嬉しかったです。「まさか、僕が」と、とても驚きました。福岡将棋会館には、小学5年生の時から、兄や母と一緒に電車で1時間程かけて、ほぼ毎週末通っていました。しかし、新型コロナの影響や僕自身の受験のために、3年間程、将棋仲間に会えていないので、僕はこの作品に「元気かな?」「会いたい!」「一緒に将棋をしたいな」という気持ちを込めました。「飛車」は一番強い駒で、将棋仲間の中の一人でも、将来、最強のプロ棋士になって欲しいという願いをこめて「飛」という漢字を選びました。2023年、久しぶりに将棋仲間に会いたいです!

審査員からのコメント

「飛」の字の成り立ちには、鳥が羽を張って飛んでいる姿、飛び立つときの姿が象られているとあります。将棋の「飛車」は縦横無尽に動くことができる駒で、その様子はまさに漢字の「飛」が描く鳥のようにも思えます。
優斗さんの文章では将棋の世界における「飛」一字の持つ個性が活き活きと描かれ、それはおのずから漢字そのものの成り立ちとも響き合っていました。優斗さんの将棋と向き合われる実感から生まれた新鮮な作品に審査員賞を贈ります。(華雪)

グローブへ自分より「臭」

三浦 結柚 さん
(大阪府・15歳・浪速高等学校)

キックボクシングを始めて、約一年半。たくさんグローブをはめていたせいか、最近、だんだん臭くなってきました。臭いのは嫌だけど、臭とは、自身の自に大とかくので、臭くなれば臭くなるほど自分は大きな力を手に入れていってるんだなと感じます。

受賞者コメント

今回は審査員賞を頂きありがとうございます。今までの経験で、何かを受賞することなどなかったので、今回の知らせを知った時の話ですが、初め学校の先生に職員室へ呼び出された時は、何か怒られることをしたのではないかと、とても焦りました。しかし、いざ職員室に入り、先生の顔を見ると笑顔で「おめでとう、すごいやん。」と言って頂き、自分が想像していた先生の表情と違ったので、少し戸惑いましたが、知らせのプリントを見た瞬間、僕の心は、うれしさではじけそうなぐらい高ぶりました。
何かを受賞する気持ちは、こういうものなのかと、今回の体験で初めて気づきました。
この気持ちをかてに、もっと練習を頑張って、更に自分を大きくしていこうと思いました。

審査員からのコメント

結柚さんのキックボクシングを通じた前向きな姿勢が評価され、今回の受賞となりました。おめでとうございます。
ただ、結柚さんが「自」と「大」と捉えた「臭」は、漢字字典を調べると、もともとの成り立ち(「字義」といいます)は、鼻のかたちを象る「自」と嗅覚の優れた「犬」を組み合わせ、〈におい〉〈においをかぐ〉という意味を表すようになったことがわかります。
自分の発想・想像した何かを、今一度〈調べる〉作業は、このコンテストだけでなく、私達の日常においてもとても大切なことだと考えています。
それはキックボクシングに取り組んでいる結柚さんにとっても、その技術がキックボクシングという競技の歴史の中で積み上げられ、つくられてきたことを〈調べる〉作業をする――例えば、ムエタイとの関係はどういうものでしょう。きっと結柚さんであれば、そうした歴史は私より詳しいはずだと思います――そうした積み重ねや変化を知ることで、より自分の技術を高めるための新たな発見に繋がる可能性もあるのではないでしょうか。
前向きな姿勢でキックボクシングに取り組まれている結柚さんが、漢字を通じ、〈調べる〉ことへの気づきを得て、ご自身の目標に向かって上達されるこれからを願い、審査員賞を贈ります。

追記:
参考文献として、わたしがふだん身近に使っている字典です。
『新潮日本語漢字辞典』(新潮社)
白川静『字通』(平凡社)
(華雪)

ばあばへ私より「魔」

中田 美月 さん
(福岡県・16歳・福岡女子商業高等学校)

魔女のような笑い声で笑うばあば。お節介でせっかちでとにかく口が軽い。秘密だよと言っても魔法のように広がる私の話。もう何も教えないし話さないと思ってもなぜか言いたくなる不思議な人。私のことをなんでも知っているばあばはやはり魔女のよう。

受賞者コメント

先生に学内放送で呼ばれたので怒られるのかと思いながら職員室へ向かったのですが、受賞したと言われたので驚きと、どのような内容を書いたのか忘れていた自分に呆れも感じました。ですが、改めて作品を読むと、祖母のことをよく表しているなと自分で感じました。
この作品は、私が小さい頃に抱いていた祖母の印象で、独特な笑い方とお香のような香りが幼い頃の私に魔女のような印象を与えたのだと思います。なんでも話したくなるような不思議な人は今でも変わらずで、私の秘密は家族みんなが知っています。

審査員からのコメント

「魔」の字を字典で調べると「人をまどわす鬼」という成り立ちが見えますが、一方で「魔力」には人をまどわし、惹きつける不思議な力という意味も見えます。その一枚岩でないイメージには「魔」の字に対して古来から人が抱いてきた好奇心や深い興味を感じることができるように思います。
ばあばと美月さんとのユーモラスな日常が垣間見えるエピソードからは、おふたりの笑い声が聞こえてくるようでした。そしてこのエピソードからもまた「魔」の字の持つ意味合いの豊かさを感じさせてくれるように思いました。
大切なおばあさまとのあたたかな時間を伝えてくださった美月さんの気持ちに審査員賞を贈ります。(華雪)

佳作

  • 生野 麻央 さん
    (埼玉県・16歳・秋草学園高等学校)
  • 池側 虎太郎 さん
    (大阪府・16歳・浪速高等学校)
  • 生駒 胡実 さん
    (鹿児島県・18歳・鹿児島県立加世田高等学校)
  • 今野 夏々子 さん
    (神奈川県・15歳・鶴川高等学校)
  • 真安 結菜 さん
    (広島県・16歳・盈進高等学校)
  • 竹田 まとい さん
    (石川県・17歳・石川県立羽咋工業高等学校)
  • 西川 茉莉 さん
    (愛媛県・17歳・済美高等学校)
  • 新田 響 さん
    (神奈川県・18歳・相洋高等学校)
  • 堀口 花凪 さん
    (愛媛県・17歳・済美高等学校)
  • 母里 正恵 さん
    (大阪府・16歳・関西創価高等学校)

二次審査通過者

  • 天野 猛 さん(神奈川県立向の岡工業高等学校)
  • 荒川 悠斗 さん(福岡県立朝倉東高等学校)
  • 有賀 麻衣 さん(福島県立田島高等学校)
  • 磯道 莉子 さん(鹿児島県立薩摩中央高等学校)
  • 市原 百々子 さん(熊本県立菊池農業高等学校)
  • 梅田 ののか さん(宮崎県立延岡工業高等学校)
  • 小川 寛仁 さん(岡山県立岡山聾学校)
  • 儀間 真汰 さん(沖縄県立泊高等学校)
  • 工藤 仁香 さん(大阪府立香里丘高等学校)
  • 工藤 穂香 さん(青森県立青森西高等学校)
  • 蔵根 夕月 さん(沖縄県立美里高等学校)
  • 古賀 美有 さん(福岡県立朝倉東高等学校)
  • 小島 日乃佳 さん(長崎県立諫早東高等学校)
  • 佐々木 美夕 さん(岩手県立岩谷堂高等学校)
  • 鈴木 夢里彩 さん(神奈川県立百合丘高等学校)
  • 関口 裕仁郎 さん(群馬県立館林商工高等学校)
  • 立石 鼓童 さん(済美高等学校)
  • 千田 優輔 さん(岩手県立岩谷堂高等学校)
  • 永江 亜美 さん(福岡県立朝倉東高等学校)
  • 永野 佑一 さん(浪速高等学校)
  • 長谷川 平蔵 さん(福島県立川口高等学校)
  • ベルサローナ ナヨミ さん(東京都立大田桜台高等学校)
  • 松田 凜 さん(済美高等学校)
  • 松橋 美花 さん(青森県立青森西高等学校)
  • 南出 結友 さん(和歌山市立和歌山高等学校)
  • 宮岡 菜々美 さん(関西創価高等学校)
  • 村田 結香 さん(神奈川県立百合丘高等学校)
  • 森若 凌空 さん(京都廣学館高等学校)
  • 八島 菜々美 さん(岩手県立岩谷堂高等学校)
  • 柳原 佑飛 さん(神戸村野工業高等学校)
  • 吉田 茉央 さん(浪速高等学校)
  • 渡部 あかり さん(福島県立会津第二高等学校)
  • 渡邉 一徒 さん

絆大賞

息子へ母より「凹」

山田 二美 さん
(東京都・主婦)

自閉症と二歳半で診断された息子。発達の凸凹を平らにすべく奮闘した日々もあったけれど、十五歳になって凸凹はそのまま彼を彩る魅力になった。弱みはあっていい。助けて貰ってもいい。彼の弱点を愛してくれるお友達が沢山できた。凹は愛情を受け取る器の形。

受賞者コメント

この度は素晴らしい賞に選んでいただきありがとうございます。
十五年間の子育てを温かく肯定されたような、励まされたような心地で、とても嬉しく思っております。子供の発達も個性も様々ですが、障がいの有無を問わず、順風満帆な子育ては一つもないのではないかと周囲を見渡し思っております。私もこの文章を書ける心境になるまで十五年かかりました。
これからも、私も息子も様々な事があるとは思いますが、この賞をいただいたことを励みとし、朗らかな気持ちで日々を過ごしていけたらと思います。
本当にありがとうございました。

審査員からのコメント

"祝"「凹」大賞、おめでとう御座います!!
でこぼこのぼこ「凹」。目にしたことはあるけど、普段はあまり書くことのない漢字です。
そんな「凹」をお子さんに贈ったお母さんは、息子さんが十五歳になるまで発達の凸凹を平らにすべく奮闘したと仰っていますが、それはそれは大変なご苦労があった事でしょう。そして月日が経ち、その凸凹が魅力となり、お友達がたくさんできて多くの愛に囲まれる形になりましたね。息子さんの成長と一緒に、お母さんの心も大きくて深い懐に“変心”しました。
「弱みはあっていい」「助けてもらっていい」「弱点を愛する」全ての命が「凹」という大きな大きな器に救われる地球になってほしいと願います。
「自らの心の子」と書いて「息子」。お母さんの呼吸と共に、いつまでもお互いの息を合わせて生き生きと粋に過ごしていってください。命(ゴルゴ松本)

日本漢字能力検定協会賞

おじいさんへ夏実より「姿」

渡邉 夏実 さん
(東京都・杏林大学)

祖父が老衰で亡くなる前日、私は防護服を着て会いに行きました。目元しか見えない私にかすれる声で名前を呼んでくれました。その時、私は愛があればどんな姿でも分かるのだと感じました。新盆、実家の塀に蜻蛉がとまっていました。祖父だとすぐに気づきました。

受賞者コメント

昔から文章力のない私は受賞通知をいただいたときは、まさか自分がと思い大変驚きました。
この作品を書いていたとき涙が止まらず何度も書き直したことを覚えています。
祖父は105歳でこの世を去りました。欲を言うならもう少し一緒に居たかった。
田舎に住む普通の家族ですが作品を通して私の感じたこと、祖父が生きていたということを私たちを知らない誰かに知っていただけたらありがたいです。そして、祖父にも生前最後に会ったときの私の思いが届いていたら嬉しいです。また、姿を変えて会いに来てほしいな。
最後になりますが、思い出というものは生きた人同士だけでなく亡くなった人とも作ることができるということを今回のコンテストが教えてくれました。祖父との新しい形の思い出を作っていただきありがとうございます。

審査員からのコメント

新型コロナウイルスの感染防止のために、防護服を着て、おじいさんに会いに行った夏実さん。目元しか見えないのに夏実さんだとわかり、名前を呼んでくれたおじいさん。その人を想う気持ちがあれば、どんな姿であろうとも分かるものだと気づいた夏実さん。おじいさんはその次の日に旅立たれたそうです。
そして初めてのお盆。お盆には、ご先祖様が家に帰ってくると言われますが、おじいさんが蜻蛉の姿となって帰って来た。
慌ただしく忙しない現代にあって、なんとも言えない懐かしいドラマを見させていただいた、そう感じる作品でした。
来年のお盆には、おじいさんはどんな姿で夏実さんの前に現れるのでしょう。楽しみです。(山崎信夫)

審査員賞

母へ礼子より「花」

井上 礼子 さん
(福岡県・公務員)

花が大好きだった亡き母。戒名に「花」を入れたかったのだが、「華」に変えられてしまった。意味は似たようなものかもしれないが、「豪華」「華麗」といった印象があり、天国の母は気恥ずかしい思いをしているかもしれない。感謝の花束を添えて今、贈りたい。

受賞者コメント

この度は、第10回「今、あなたに贈りたい漢字コンテスト」の審査員賞に選出していただきありがとうございます。
出生時、両親から漢字の名を贈られました。
数年前、長女が誕生し、漢字の名を贈りました。
その1年後、母が他界しました。戒名のうちの一文字を、私と妹から贈ることとなりました。
母として娘に漢字を贈り、娘として母に漢字を贈りました。天国の母と現世の我が娘たちの幸福を、心から願っています。

審査員からのコメント

「花」受賞 おめでとう御座います!!
「花が大好き」この言葉だけでその人の雰囲気、性格、表情が想像できます。花好きな人に悪い人はいないと言われます。春夏秋冬、色取り取りな花が咲き誇る日本。満開の桜、真夏の太陽に向かう向日葵、野に咲く花、アスファルトの路面から顔を出す花。そんな花々に出逢うたびにこちらは笑顔になります。なぜでしょうか?それは「咲」に秘密があります。
「笑」の古字が「咲」。咲くとは笑う事。笑うとは花を咲かせる事なのです。お母さんはいつもニコニコと、花と会話を楽しんでいたのでしょうね。
花のある人生はそれだけで幸せです。いつも心に花束を!!感謝の花束を!!
お母さんの昔話に花を咲かせてくださいね。命(ゴルゴ松本)

お父さんへ娘より「隠」

小野 伶於奈 さん
(福岡県・会社員)

お父さん。夏はパンツ一丁に、はみ出たぽっこりお腹、隠そうね。我が家はビール1日1本のルールだけどこっそり補充して証拠隠滅してるの知ってるよ。でも、お父さんとの毎晩の晩酌が楽しみなのは、私の隠しごとだよ。

受賞者コメント

この度は、栄えある賞を頂き心よりお礼申し上げます。
当初、父に宛てた漢字「隠」という作品を、父には知らせずに応募しました。
その後受賞した事と作品の内容を父に報告すると、にんまりと笑って一番に喜んでくれましたが、もはや隠し事ではなくなりました。
私の家族の日常の一コマを表した作品ですが、母は恥ずかしそうにしながらも、「おめでとう」と声をかけてくれました。
家族の絆を隠す必要はありませんよね!授賞式には家族旅行もかねて一緒に参加させて頂きます。
そして旅行中、父との晩酌が楽しみです。でもやっぱり照れくさいので、隠し事。。。

審査員からのコメント

「隠」受賞 おめでとう御座います!!
誰にでも隠し事はあります。
家族、夫婦、友達などそれぞれの間に大なり小なりの秘密はあるものです。そういう事があるからサプライズも成り立つんじゃないかなと思います。
しかしお父さんは昭和のおやじさんの様にパンツ一丁、ぽっこりお腹にビールをグビッグビッと呑む。そんな姿が今で言う「映える」です。ビールをこっそり補充も可愛い隠し事。
そんなお父さんの姿は家族にしか見せることがない隠し芸であり家族の隠し味!!になっていますね。
親子の晩酌を想像するだけで微笑ましいですね。これからも美味しいお酒を呑んでくださいね。命(ゴルゴ松本)

タオさん、トウオンさんへ日本語教師の古川より「越」

古川 裕子 さん
(長野県・日本語教師)

「越南(ベトナム)」から来た介護福祉士候補生の学生。コロナ禍に屈せず、越南と日本の明るい未来のために毎日頑張っている。気づけば四年目。日本語の壁を乗り越え、今年の冬に介護福祉士国家試験を受験する。私にできる事は応援のみ。頑張れ!自分を信じて!!cốlên

受賞者コメント

この度は、このようなすばらしい賞をいただきまして、ありがとうございました。
本文中に出てくる彼女たちと共に「日本にいる時の思い出に」と思い三人で出展致しました。
彼女たちは、日々、日本語の勉強をしながら高齢者に寄り添い、悩み、乗り越え、最終目標である国家試験に向けて奮闘中です。彼女たちのひたむきな努力はきっと実を結び、これからの人生の糧になってくれると思っています。私もそんな彼女たちに励まされてきました。
日本で働く外国人の頑張りを、多くの方々に知っていただけましたら幸いです。

審査員からのコメント

「越」受賞 おめでとう御座います!!
ベトナムから日本へ海を飛び越えやって来た。
学生二人、タオさんとトゥオンさん。言葉の壁を乗り越えるだけでもすごく大変ですが、コロナ禍でよりご苦労があったと察します。生徒を想う先生の優しさが、心配りが伝わってきますね。それだけ真面目にベトナムの為に頑張っている姿を見てこられたのだと思います。
人の心を動かす「姿勢」は感動を与えます。姿の勢いと書いて「姿勢」。背筋を伸ばして前を見て介護福祉士国家試験に挑んでください。
頑張る人を応援する「姿勢」も未来を創ります。
時を「越」えてみんなの未来に幸あれ!!命(ゴルゴ松本)

佳作

  • 岩田 陽 さん
    (京都府・教員)
  • 熊谷 満帆 さん
    (神奈川県・教員)
  • 小松崎 潤 さん
    (東京都・会社員)
  • 笹村 紀子 さん
    (秋田県・主婦)
  • 橋本 真弓 さん
    (神奈川県・自営業)
  • 見澤 富子 さん
    (埼玉県・自営業)
  • 見澤 有美 さん
    (埼玉県・主婦)
  • 村形 舞香 さん
    (宮城県・教員)
  • 村上 沙由里 さん
    (北海道・心理職)

二次審査通過者

  • 浅井 久代 さん
  • 伊東 正恵 さん
  • 大河平 好香 さん
  • 川辺 浩貴 さん
  • 具志堅 江美 さん(専門学校日経ビジネス)
  • 小松崎 有美 さん
  • 小松本 あゆみ さん
  • 櫻田 航大 さん
  • 下吹越 直紀 さん
  • 神野 麻希 さん
  • 高橋 慶 さん
  • 玉利 明日菜 さん
  • 堤 真理 さん
  • 坪田 保 さん
  • 土井 紘子 さん
  • 仲宗根 麗華 さん
  • 長滝谷 保 さん
  • 中村 実千代 さん
  • 林 明日佳 さん
  • 原 浩二 さん
  • 比嘉 怜菜 さん(専門学校日経ビジネス)
  • 松本 あかね さん(帝塚山大学教育学部)
  • 的場 稀有 さん(帝塚山大学教育学部)
  • 山下 さやか さん
  • 山田 佳孝 さん
  • 吉田 るな さん
  • らうり えれな さん(ヘルシンキ大学)
  • 渡辺 理佳 さん

団体賞

  • 桶川市立朝日小学校(埼玉県)
  • 流山市立八木北小学校(千葉県)
  • 名古屋市立西味鋺小学校(愛知県)
  • 太田市立太田中学校(群馬県)
  • 練馬区立北町中学校(東京都)
  • 江南市立北部中学校(愛知県)
  • 浪速高等学校(大阪府)
  • 済美高等学校(愛媛県)
  • 福岡県立朝倉東高等学校(福岡県)
  • 帝塚山大学 教育学部 こども教育学科(奈良県)

※ 受賞者・二次審査通過者の都道府県、団体名、年齢、職業は応募当時のものです。

※ 基本的には応募作品の原文をそのまま掲載しておりますが、一部修正を加えている箇所がございます。ご了承ください。

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