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小学校

知識と経験の種が生きるチカラになる/小学校/京都

学校長 シスター ベアトリス 田中 範子 先生

近畿 / 京都

[私立] ノートルダム学院小学校

学校長 シスター ベアトリス 田中 範子 先生

1.地球社会に貢献できる人間育成

 本校は、ノートルダム修道女会を母体とし、カトリック精神に則った教育活動を行っている、創立以来50年を超える男女共学の私立小学校です。本学園は、中学校から大学までは女子校であるため、男子児童は中学受験を経て他の私立中学校や国立中学校へ進みます。また、女子児童においても、本人の適性に応じた進路選択をさせております。そのため、中学受験に耐えうる学力を6年間で身につける指導が必要です。しかし、本校の教育モットーは「徳と知」です。徳育・知育による全人的な成長を願い、児童一人ひとりの可能性の開花と、地球社会に貢献できる人間の育成を目指しています。

2.小学校教育において大切なこと

 近年の社会においては、表向きの安定した生活を手に入れるために、最も大切なことが犠牲にされつつあるような気がしてなりません。学校も企業も国の政策も「人は何のために生きているのか」という点に立ち返らない限り、真に豊かな社会を実現させることはできないでしょう。

 では、小学校教育において大切なこと、必要なことは何でしょうか。それは、目先の事象や自分の利益にとらわれることなく、大きな視点から物事を考えていく力、他者のために自分を犠牲にできる心を育てることです。そして、人間として最も基本的な約束事(社会性)を身につけさせ、「よくものを考え、判断し、正しいことを実行することができる」6年生として卒業させることです。

 とはいえ、なかなか6年間で完全な人間性を養うことは難しいのも事実です。ゆえに、小学校段階においては、本人が「考え・判断し・実行する」ことができるよう、その土台となる知識・経験の種を蒔いておくことが重要です。そのためには、時に「型にはめたり詰め込んだり」という教育が必要な場面もあります。本人が個性・自主性を発揮させるための土台は、大人が責任を持って固めておかなければなりません。

3.体験する場の重要性・・・知識・経験の種を蒔く

 人は、自分の中にどんな形でも「痕跡」がなければ、貴重な体験・出会いがあっても気づかずにただ通り過ぎてしまいます。小さいときに蒔かれた種は、自分の中に大切な因子として残ります。その後成長していく過程で色々な人と出会い、さまざまなものに触れることで、その因子がよみがえり、その本当の意味を理解していくのです。ですから、最初は意味が分からなくてもいいですし、まずは形から覚えてもいいと思います。私自身も、初めは意味も分からないまま祈りの言葉を唱えていましたが、後に本を読んで「こんな意味だったのか」と理解した経験があります。ですから、できるだけ多くのことを体験する場を与えることが大切です。刺激を受ける場があればあるほど、脳の神経細胞は活性化します。本校では5年生で「遠泳」を行います。子どもたちは泣きながらでも厳しさを乗り越えようとします。その課題を乗り越える過程で、達成感や充実感が生まれ、自分が肯定されていると感じていきます。その他に、「茶道」を体験する機会も設けています。静かな茶室で茶を点てることにより、他者を思いやり、もてなす心が育ってくれればと考えています。

 このように、可能な限り子どもたちに多様な活動の場を用意し、自分で選び取り、最後までやり遂げる力を、小学校の教育課程中に身につけさせたいと考えています。

4.世界で生きていくための力・・・読み書きそろばん、教養

 体験の場を用意するだけでなく、そこで得たものを活用する力、つまり考える力・読み取る力、すなわち瞬時に自分がどちらかを選ぶ力・判断する能力(思考力・判断力・実行力)を身につけさせなければなりません。子どもはやがては自立していきます。その時にこそ世界で生きていくための「基礎生活力」とも言うべき力が必要です。その元となるものが、昔から言われている「読み・書き・そろばん」であり、「教養」だと思います。これらを身につけるには、古典・名著から先人の教えや言葉を学ぶ必要がありますし、そのためにも「読み・書き」の力が本当に重要です。これは世界中どこでも共通することです。

 「読み・書き」の力を身につけさせる上では、ただ単に言葉や漢字を覚えさせるだけではなく、その意味まで理解させ、状況に応じて正しく使いこなせるようにしなければなりません。本校が取り組んでいる以下の2点には、その意図も込められています。

(1)宗教の徳目標の実践
 毎月、徳目標を掲げています。例えば「善意」「寛大」「親切」などの徳目標にそって、心の教育をするよう努めています。これらの言葉は抽象的なので、実際にどのようなことを表すのかを児童がすぐに理解するのは難しいことです。そこで、さらに「隣人愛」などとわかりやすいテーマを与えて意識させます。そして担任が児童の行動を観察し、「昨日、○○さんが○○ということをしました。これがまさに隣人愛、善意ですね。」というように、その言葉が意味するところを理解させます。つまり、児童はある言葉に対して、その意味を実体験として具体的に理解することになります。このような意味で「言葉を知る」ということは非常に重要です。

(2)「漢検」の導入
 普段の授業や校内で行っている漢字大会(30年来行っているテスト)で、漢字を覚えるということについての指導は十分に行っています。しかし、それ以上に「漢検」は全国的な指標であり、合格すれば合格証書がもらえます。また、級というステップがあり、児童はそれをクリアすることで自分の成長を実感できます。「漢検」は努力すれば必ず成果の出るものです。正しい読み書きの力を身につけるとともに、「やればできる」という成功体験・自己肯定感を味わえる機会にもなるため、毎年全校児童が「漢検」に挑戦しています。

 児童は日々、色々な体験の中から学び、成長していきます。「やればできる」という満足感のある原体験は、子どもが大きくなってから体験させたのでは遅いのかもしれません。小さいときに体験していれば、未来まで頑張っていく力の元になります。そういう意味でも、「漢検」は重要な役割を担っています。

5.最後に・・・人が変われば世界が変わる

 「相手を変えようとするのではなく、まず自分が変わる...」
 これは本校の創立者の思いです。自分に痛みがあっても、他者の痛みの方を優先できる人間、まず自分が変わることで、相手を変え、世界を変えていける、良くしていける人間を育てていきたいと考えています。


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。

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