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小学校

チャレンジする意欲にあふれた学校づくり/小学校/東京

校長 林 恵子 先生

関東 / 東京

[公立] 台東区立田原小学校

校長 林 恵子 先生

目的をもった自学自習のために

 本校は、浅草の名所である雷門や浅草寺の近く、文化的にも立地の良い場所に位置します。学力調査の結果などからも応用力に優れ、進学志向も高い児童が多く見受けられます。しかし、私が本校に赴任した当初に感じたことは、漢字のように繰り返し練習を必要とする地道な取り組みを苦手とする児童も見られるということでした。学力調査や児童へのアンケートからも、他の項目に比較して漢字の定着率だけが低いということが分かりました。このコツコツ取り組む姿勢と挑戦する意欲の向上を課題とし、国語や算数の基礎学力向上のための取り組みを強化することにしました。
 しかし、取り組むべき学習内容は増加傾向にあり、授業内で漢字の練習に多くの時間を割くことは難しい状況です。その解決のためには、子どもたち一人ひとりが、目的をもって家庭での自学自習に臨める状況をつくることが大切だと考えました。自分のウィークポイントを把握し、それを改善しようという挑戦する意欲をもっていれば、自ら目的をもつことができます。
 その状態をつくるために、漢字検定を活用することにしました。漢字検定は、検定結果として個別の分野別レーダーチャートが提供されるため、自分のウィークポイントを把握することができます。また、合格に向けたアドバイスも個別に提示されるので、合格に向けた挑戦する意欲をもってもらうことができるのです。

子どもに刺激され、教職員も保護者も変わる

 私は、日頃から「失敗したらそこで諦める子にはなってほしくない」と考えています。漢字検定が長続きするためにも、不合格だった児童が再挑戦に向けて意欲を失わないようにすることに注力しました。児童が挑戦する意欲を失わないためには、周囲の大人のケアが非常に大切です。そこで、初年度は不合格の児童一人ひとりと面談し、「合格まで2点足りないということは、あと2問できていれば合格したね。次は大丈夫!」と児童のやる気を鼓舞するよう努めました。また、せっかく向上した挑戦する意欲を途切れさせないためにも、なるべく多くの挑戦機会を提供できるよう環境も整えました。いったん軌道に乗ってしまえば、後は年間計画に従って教職員や保護者、児童が自ら計画し、順調に進行していくものです。

 保護者には、毎年年度初めの全体保護者会で、児童が漢字を苦手としていた話をします。「コツコツやるのが苦手」と子どものウィークポイントを保護者にも意識付け、「検定試験はいいきっかけになります。」と案内しています。また、保護者も一緒に受検することを勧めています。普段は口癖のように「勉強しなさい」と言っている親も同じ体験をすることで、勉強の大変さを子どもと共有できます。そして、口で言うだけではなく、一緒に勉強する時間を設けるなど勉強のさせ方にも変化が出てくるようです。また、受検の大変さを知った保護者の方は、子どもの合格や不合格の結果が分かった場合の声のかけ方、励まし方も変わってきます。不合格だった子どもの母親も、「残念だったね」だけではなく、「あの時、お母さんはテレビを観るのを我慢して勉強したからやっと合格できたんだよね。でもあなたは大丈夫だと言ってゲームをしていたから、残念な結果になったね。あの時頑張れば、この足りない○点が取れたんだよ。」と、具体的に伝えたという話を聞いたことがあります。また、合格したときには、子どもが頑張った点をより意識したほめ方ができるようになります。
 教職員の中にも、児童と一緒に受検する姿が見られます。教職員自ら受検することで、「先生も漢検の○級をとっているんだよ」と児童と交流を図るようになったり、丁寧に字を書くことの大切さを再認識したりと、普段の指導にも役立っているようです。

導入の効果

 子どもたちは、これから何度も人生を左右する試験に立ち向かうことになります。公的な試験の練習という点でも、私は漢字検定を受検することは、合格・不合格を含め良い経験になると思っています。普段の学校のテストでは味わえない緊張感を体験することは児童にとって大変貴重です。この独特の緊張感を味わったことがあるかどうか、今後の様々な試験に挑む場面で大きく差が出てくることでしょう。
 また、その緊張感を乗り越えて合格を勝ちとった喜びは、何よりも大きな自信になり、次に向けてチャレンジする意欲にもつながります。本校でも、漢字が苦手だった児童が漢字検定に合格することで自信をもち、一生懸命漢字に取り組むようになりました。平成22年度は、6年生で2級に合格した児童も現れました。導入から4年目を迎えますが、児童は自分で設定した目標に向かって継続して学習を積み重ね、自律的に挑戦を続けています。近年の学力調査の結果でも、漢字の定着率は飛躍的に向上しています。
 子どもは「打てば響く」のです。挑戦する機会をきちんと設ければ、自ら進んで立ち向かうようになります。子どもが本来もっている挑戦する意欲を引き出すために、周囲の大人がその機会をどう作っていくかが非常に重要なことだと確信しています。


学校紹介

校長:林 恵子 児童数:440名

校舎外観 目指す学校像
分かる学校・楽しい学校(成就感と存在感)
1.心身の健康と生命を大切にし、人を思いやれる心の安らぎのもてる学校
2.自分の良さが分かり自他が尊重され、存在感や連帯感のある学校
3.分かった喜びや充実感が味わえ、伸びる(挑戦する)チャンスの与えられる学校
4.地域の伝統文化を尊重し、地域と連携し、向上する学校


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。

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