家庭での学習習慣づくりの促進に漢検を開始／小学校／北海道

本校が目指していること

　本校は学校教育目標である「かしこく やさしく たくましく」の実現に向けて、「共生・共創の学校づくり」を基本理念に掲げています。学校と家庭が一体となって子どもの自立的な学習習慣づくりに取り組み、基礎基本にあたる「知識・技能」と応用発展にあたる「思考力・判断力・表現力」をバランスよく育むことを目指しています。

保護者の漢検受検に対する意識の高さをアンケートで実感

　本校で漢検を開始するきっかけとなったのは、毎年６年生が受けている全国学力・学習状況調査の結果です。ほとんどの分野では全国平均を上回っていたのですが、漢字の分野だけが全国平均を下回ったのです。もともと家庭での学習習慣づくりのために漢字の復習や問題集に取り組ませていましたが、漢字学習への大きな動機づけはできていないと感じており、明確な目標設定ができる漢検を学校で実施することを本格的に検討することにしました。
　漢検は級ごとに出題範囲がはっきりしており、学習の動機づけに使いやすいツールです。しかし、教職員や保護者の負担を増やすことは本意とするところではありません。ＰＴＡや保護者が主体となって実施している他校の話も聞き、まずは本校の保護者の要望や意向を確認すべく、アンケートを行いました。その結果、なんと全校児童の７～８割の保護者が「通い慣れている学校で受けられるならば自分の子どもにも受けさせたい」と賛同してくれたのです。また、検定日当日のお手伝いについても５０名程の保護者が協力の手を挙げてくれました。これだけ保護者のニーズや協力の意向があるならばと実施にふみきることにしたのです。

夏休み中の家庭における学習習慣づくりの促進に

　初めての漢検は８月（第２回）に行いました。夏休み明けには本校の学校行事である「宮小漢字コンテスト」という校内漢字テストがあり、検定日も始業式の翌日であるため、夏休みに集中して漢字学習に取り組むことができるのではないかと考えたからです。その結果、全校児童の２割以上にあたる１５２名の申し込みがあり、合格率も９０％を超えたことから、夏休み中に漢字学習を頑張った家庭が多いことがわかりました。漢検を受検した子どもは漢字以外の家庭学習にも意欲的に取り組むようになったことから、想定以上の効果があったと感じています。

今後の運営について

　検定日当日の運営はＰＴＡ役員の方々が協力してくださいました。不安なく実施ができるよう、念入りに事前打ち合わせを行い、検定の会場は広い教室を含めた４教室に集約し、運営が分散しないように工夫しました。今後は検定日当日の運営についても、ＰＴＡ活動の「一人一役（※）」の業務の一つに含めてもらい、ＰＴＡ役員以外の保護者にも協力してもらうことを考えています。また、「１年間の学習がある程度終わっている時期ならば受けさせたい」という保護者の声もありましたので、平成３０年度は夏ではなく、冬（第３回検定）に漢検を実施する予定です。

豊かな人生を送るために

　漢字は大切な日本の文化です。読み書きに必要なだけではなく、漢字自体が持つ様々な意味や歴史、成り立ちを深く知ることで、言葉や心を大事にするようになります。身につけた語彙力は考える力となり、豊かな情操や感性、教養につながります。知識の剥落を防ぐためにも、自分自身がおもしろいと感じながら習得する習慣を長期にわたって身につけてほしいと願っています。
　だからこそ、子どもたちには漢字学習を強制するのではなく、漢字を学ぶ楽しさを教えて、自主的に取り組ませたいと考えています。漢検受検で生まれた意欲を日常の漢字学習にもつなげていき、子どもたち一人一人が豊かな人生を送れるよう働きかけていきたいです。

※「一人一役」…本校の在籍児童一人に対して、保護者がＰＴＡ活動にひとつ協力するという仕組みのことを指します。運動会のお手伝いや学校プール開放時の監視員等があります。

※掲載内容（所属団体、役職名等）は取材時のものです。

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