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【NEW】「生きる力」を身につけてほしい/中学校/東京

国語科教諭 永井 充 先生

関東 / 東京

[公立] 東京都立小石川中等教育学校

国語科教諭 永井 充 先生

国際社会で活躍できる人材を育成する

 東京都立小石川中等教育学校は東京府立第五中学校創立以来、90年以上にわたって連綿と受け継がれてきた「立志」「開拓」「創作」の精神を教育理念の中核に据えて、「自ら志を立て(立志)、自分が進む道を自ら切り拓き(開拓)、新しい文化を創り出す(創作)」ことのできる人材の育成に努めています。そして、この教育理念を実現するための方策として、「小石川教養主義」「理数教育」「国際理解教育」を推進しています。

 本校に入学した生徒一人一人が、充実した授業や特色ある学び、伝統ある行事、活気あふれる部活動などを通して、幅広い教養や豊かな感性、主体性や創造性、人間性など、リーダーに求められる資質・能力を身に付けて、将来、大学で、社会で、さらには国際社会で、思う存分活躍してもらいたいと考えています。

本校の教育に欠かせない漢字力・語彙力

 まず、輩出したい理想の人材像としての『国際社会で活躍できる人材』に必要という観点で考えると、人間関係の構築ができることは非常に重要になってくると思います。今後、増々国際化が進むことで今まで以上に多様な人と関わらざるをえない状況になります。こういった状況の中で人間関係を構築できない人間は、いかに能力が高くとも、リーダーとして人を導くことができません。そういった意味で、特に発達段階において途上である中学生の時期では「思いを形にする」ことで「伝えあう力」を醸成し、コミュニケーションのスキルアップを図っていかなければなりません。「思いを形にする」ためにはより多くの語彙を知り、表現の幅を広げていく必要があります。日本語の語彙において漢字がその意味を占める割合は大きいため、根本的には漢字が重要と言えるのはないでしょうか。

 また、本校における教育活動を支えるのも漢字力・語彙力が土台となる国語力です。本校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されており、その事業の一環として小石川フィロソフィーという活動を3,4年生で実施しています。この活動は発表会までを含めた様々な分野の探究活動なのですが、探究を深め他者に伝えていく際には、抽象的な表現を適切に読み取る読解力や、漠然とした概念を文章化する表現力が不可欠です。こういった力の土台となる漢字力・語彙力を早期に身につけておくことで、本校の特色ある活動がより充実するのです。そして、日本人としての根幹である国語力を身につけておけば、のちにどんな分野に進むことになろうとも確固たる土台として生徒を支えてくれることになると信じています。

 さらに、基礎の徹底が思考力や想像力を育み、新しいものを創り出すための源になるとも考えています。本校の教育理念の一つに「創作」(新しい文化を創り出す)がありますが、基礎知識がないまま新しいものを創造していくことはできません。漢字も、その必要な基礎知識の一つだと考えます。漢字はそれぞれに意味がある表意文字ですから、知識を身につけていれば熟語の意味を推測したり、それぞれを組み合わせて新しいものを表現したりすることが可能です。漢字を通して思考の訓練を行い、想像力を養い、「創作」の土台を作ってもらいたいと思います。

継続的な成功体験の創出で学習意欲の持続を

 漢字力・語彙力を早期に身につけさせたいという考えもありますが、同時に、学習意欲が高いうちに成功体験を積ませることで自己肯定感を育みたいとも考えています。本校に入学してくる生徒はもともと難関の入試を突破したという成功体験を持っており、意欲の塊と言えるほど学習意欲が高いです。鉄は熱いうちに打てといいますが、その成功体験に基づいた非常に高い学習意欲を利用し、維持・継続させることが、中高一貫教育において肝要だと思います。やればできるという経験を積むことで育まれた自己肯定感は、物事に取り組む際の大きな原動力となるでしょう。

漢検の取組み

 前述までのように、漢字力・語彙力を身につけさせるため、成功体験の機会を創出するため、本校では前期課程の生徒に漢字検定を受検させています。目標の級を1年生で3級、2年生で準2級、3年生で2級と設定し、目指してもらいたいと考えています。高い目標だとは思いますが、本校に通って良かったと思ってもらえる教育結果を残したい、社会的指標に照らしたときの実力を目に見える形にしていきたいと思います。また、高い目標を目指すことで、どういった勉強をどのくらい取り組めばよいかという勉強のコツがわかってくるといった効果もあるようです。

 日々の漢字学習については、漢検という目標を効果的に活用するため、漢検の過去問を参考に作成した「漢字マラソン」という学習プリントに取り組ませています。この漢字マラソンは1学期に2~3回の頻度ですが、定期テストにも漢字マラソンで出題された範囲からの出題があります。結果として生徒はほとんどいつも漢検の出題内容に取り組んでいることになります。意欲の高い生徒はどんどん自習用のプリントを取りに来ますし、希望者を受け入れる夏季や冬季の漢検対策講習に積極的に参加します。重要なのはどれだけ生徒の意欲を喚起できるかと、それをうまく導いてあげるための仕組みを大人が用意することだと思います。

最後に

 漢検の学習などを通じた漢字の勉強、語彙の修得が土台となり、本校ならではの活動、SSHとしての取り組みやビブリオバトルなどの言語活動をより充実させていきたいと考えています。そして、ここに挙げたことに限らず、本校の教育活動を通して、将来どんな変化が起きても対応できる「生きる力」を身につけさせたいと切に願っています。


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。

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