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団体受検 取組事例(小・中・高 等)

中学校

学習意欲の向上と明確な学力の証として/中学校/東京

国語科主任 中村 聡 先生

関東 / 東京

[私立] 早稲田大学系属 早稲田実業学校中等部・高等部

国語科主任 中村 聡 先生

1.本校が感じていた課題と「漢検」を選択した理由

・課題(1)- 早実で身につく学力を示したい

 お陰様で、近年では「ぜひうちの子供を早実に入れたい」とおっしゃっていただける保護者が増えて参りました。それと同時に、保護者からは「早実に入ったらどんな学力が身につくのか」ということを、目に見える形で示して欲しいというニーズも高まってきたのです。
 これらの背景には、本校における大学への進学制度が変更になったことがあります。数年前までは、系属大学への推薦枠には限りがあり、系属以外の大学へ進学する生徒がほとんどでした。その当時は大学への進学実績を示すことで、本校の生徒の学力をある程度証明できていたと思います。ですが、数年前から卒業生全員が系属大学に進学できるようになったため、進学実績に代わって生徒の学力を証明できる何かが必要になってきたのです。このことは、保護者からの要望があったからということに限らず、国語科内でも議論になっていました。
 本校の生徒や保護者、あるいは将来入学を希望する方々に対して、「早実の国語科としてこれをやる、早実に入るとこんな国語力が身につく」というものを明示する必要があると考えたのです。

・課題(2)- 生徒達の学習意欲を向上・継続させたい

 全員が系属大学に進学できる体制になったことで、もうひとつ新たな悩みが発生しました。大学入試という目標のない生徒達の学習意欲を、いかに向上させ、いかに継続させるかという問題です。越えるべきハードルが無い生徒達は、ともすれば学業を疎かにしてしまいがちです。またその以前から、低学年の生徒にとっては、数年先の大学入試に対してはまだ実感が持ちにくく、なかなか動機付けにならないという問題もあったのです。大学入試に代わる、学ぶ目標が必要だと感じていました。
 特に、漢字や語彙力のような基礎的な領域に関しては、日頃の反復訓練以外に身につける方法がなく、生徒が自ら進んで学ぶことはあまり無い領域です。生徒にとって学習の励みになるもの、達成感があるものを用意する必要性を感じたのです。

・課題(3)- 高等部から入学してくる生徒と同等の語彙・漢字力を身につけさせたい

 中等部を担当する教員には、内部進学生に3年間で、高等部から入学してくる生徒と同等のレベルの学力を身につけさせておく責務があります。
 ここ数年、高等部からの入学希望者の調査書を見ると、特に語彙・漢字力に関しては「漢検2級」を取得している生徒がかなり増えてきました。語彙・漢字力は国語を含む全ての学力の基盤となる力です。語彙・漢字力に差があると、あらゆる教科の理解が困難になり、学力差はますます広がってしまうでしょう。そのため、内部進学生の語彙・漢字力を引き上げる優先度は高いと考え、内部進学生も、高等部進学までに「漢検2級」レベルの漢字力を身につけさせなければならない、と感じていました。

・解決処方として「漢検」を選択した理由

 これらの課題を解決すべく、国語科で協議した結果、「漢検」を活用するという意見の一致を見ました。
 高等部の受験生にも取得者が増えてきたことからも明らかなように、「漢検」は流通性と汎用性が担保されていると判断しました。これであれば、本校の学習目標として保護者に明示しても理解を得られやすいでしょうし、生徒にとっても目標として申し分ないものだと考えました。
 また、「漢検」はスモールステップの級設定がなされていますので、常に目指すべき目標が明確です。また、受検機会も年複数回あります。そのため、継続的な反復訓練を誘い易く、かつ生徒の学習意欲を継続させるにも効果的なのです。

2.課題を解決するための「漢検」の活用方法

 導入にあたり、まずは、各学年ごとの到達目標級を定めることにしました。中学1年で3級、中学2年で準2級、中学3年で2級です。学習指導要領よりも少し上を目指そうということで、敢えて高めの級を設定しています。
 このことは生徒に対してはもちろん、保護者や他教科の教員も含めた全員で共有しています。保護者に対しては、学校説明会の段階から、「中学3年までに全員に2級を取得させます」と明言しています。大変好評価をいただいており、「とても良いことだと思います」と言っていただくことができました。

 受検体制としては、年1回、中学生全員で受検しています。その際の検定料は学校が負担しています。国語科として、年1回分の模擬試験などに使用できる予算を持っています。本校の中等部では、それを「漢検」に充当することにしたのです。
 生徒達に緊張感を持たせるためにも、敢えて目標級より下の級は受検させません。つまり、中学1年であれば3級かそれ以上の級に挑戦させるのです。学校での受検機会は年1回だけですが、残念ながら目標級に不合格だった場合も、それで終わりではありません。その後に必ず個人で受検し、年度内に目標級に合格してくることを課しています。そして、見事合格できた生徒には、学年末の国語の成績で若干の評価を加えるようにしています。生徒にとっては大きな励みとなっているようです。
 このような体制を敷くことで、生徒や保護者にとって目標級到達が学校としての明確な意志であることが伝わります。生徒も保護者も「落ちたらどうしよう」という緊張感もあったようですが、それが逆に良い刺激となっているようです。2年連続で協会から優秀団体賞を受賞するという、好成績を残すことができました。

 今後の課題は指導の充実です。全員2級合格が最終目標ですので、その実現に向けた指導を工夫していかなくてはなりません。
 現在は、副教材として「ハンディ漢字学習(協会発行)」を全員に持たせています。生徒一人ひとりに受検希望級を確認し、それに対応した級の冊子を学年費で購入して配布しました。また、検定結果通知を配布する時も、「自分の苦手分野が良く分かるようになっているから、各自で熟読するように」と指示を出しています。
 これからも、定期的に過去問題を利用した小テストを行う、不合格者を集めた対策指導を行うなど、全員が2級に到達できるような工夫を行っていく予定です。


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。

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