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【NEW】日本文学文化学科での学びに必要な漢字・語彙力として、準2級レベル以上を求めています

文学部 日本文学文化学科 楊 昆鵬 准教授

関東 / 東京

武蔵野大学

文学部 日本文学文化学科 楊 昆鵬 准教授

■漢検の活用方法

 当学科では、アドミッションポリシーに基づく学校推薦型選抜入試の出願要件のひとつとして、日本漢字能力検定(以下、漢検)準2級以上を定めています。また、2019年度からは漢検の団体受検を行い、1年生全員に漢検の受検を義務付けています。受検級は準2級以上に限定し、各自に自己申告をさせました。受検料と問題集の費用は、大学側が全て負担しています。
 このように、入学当初に全員に漢検準2級以上の取得を目指させる理由は、大学で学ぶために必要な最低限の漢字・語彙能力として、その水準が必要だからです。それは、高校生までに身に付けて欲しい水準ですが、必ずしも全ての入学生が達成できているわけではありません。リメディアル教育の観点からも、大学の講義を理解し議論に参加するに堪えうる漢字・語彙力を身に付けさせる必要があるのです。
 団体受検では、半分以上の学生が2級以上の級に挑戦しました。その一方で、まだ準2級を取得していない学生も居るなど、かなりのバラつきがありました。現在、本学の入試の国語では「漢文」選択を必須としていないため、やむを得ないことかもしれません。ですが、本学科では「漢文学」は必修科目です。その「漢文学」に限らず、日本文学文化学科のすべての講義を理解するためにも、全ての学生に、一定水準以上の漢字・語彙力が求められます。
 なお、漢検受検に際して、問題集は提供していますが、対策講座などは開講していません。検定に合格すること自体が目的なのではなく、自ら漢字・語彙を学んで、必要な能力を身に付けてもらうことが目的だからです。


■漢字・語彙を学ぶ意義

 当学科の漢字・語彙力を高めるための取り組みは、漢検の活用だけではありません。例えば、「漢文学」の授業では、「漢和辞典」を購入することを義務付けています。高校までは電子辞書を持っている学生が多いのですが、本格的に「漢文」を学ぶにあたっては、電子辞書では不十分です。「漢和辞典」とともに辞典についている付録が非常に重要で、そこに示されている文化史年表、漢字の歴史や音韻、歴史地図や同訓異義、さらに度量衡など、東洋文化の基本となる多くの情報が濃縮されています。また、ひとつの漢字を引いた時に、隣に掲載されている漢字も目に入ることで、多くの漢字を体系的に比較しながら学ぶことができます。電子辞書やスマホを使ったピンポイントの検索ではなく、漢字や熟語の海にひたって語彙力と感性を涵養して欲しいと願っています。
 こうした学びは、語彙量を飛躍的に増やし、文章の意味密度を向上させます。また講義を通じて、漢字・語彙の奥深さ、面白さ、表現の豊かさに始めて気づいたという学生も多くいます。語彙を増やすということは、世界の見方や捉え方をより多角にするということに他なりません。抽象的な事象を言語化して、把握・分析するためには、語彙力が欠かせないのです。当学科の学生に限らず、全ての大学生に必要な能力であると思っています。


■漢字・語彙を学ぶ効果

 当学科のカリキュラム・ポリシーとしては、もちろん準2級よりもさらに上位の級を取得することを望んでいます。学生たちを見ていても、漢検の上位級を取得していればいるほど、講義中の発言や課題レポートの質が明らかに上がっていきます。漢字・語彙を学んだ効果は、確実に表れるのです。
 また、実際に漢検の成績が良かった学生は、就職活動においても良い結果を出せる傾向にあります。私は、ゼミの学生たちに、「エントリシートの作成や面接のとき、文学部で学んだことを使いなさい」と伝えています。中には、面接で論語の一節を引用して自己PRし、見事に内定を獲得した学生もいました。通り一遍の回答では、人は動かせません。この時、言葉の力を獲得していることは、非常に強みとなります。深みのある内容を適切な表現で伝えることができれば、就活は成功できるのです。
 コロナ禍の影響を受けて、授業も仕事も、リモートで行う場面が増えました。相対的に一人で熟考する時間が増え、その時間をどのように使うかによって、個人の力量に差が付く時代になりました。その際、物事を理解し、考えを深めるための高度な漢字・語彙力を獲得していると、非常に有利です。また、ネット社会における日本語の乱れや正確性の欠如、デジタル化された情報発信の校正力の衰退が憂慮される中、文字・言葉の誤用乱用に対する「免疫」が新たな課題となります。信頼できる人間関係の構築にあたっても、言葉は非常に重要です。漢字・語彙力がますます必要な時代がやってきた、と言えるのではないでしょうか。


■中高生へのメッセージ

 中高生には、ぜひ世界の多様な文学や思想や言語に触れて、言葉のセンスを磨いて欲しいと願っています。
 世界の文学には、一般的に社会性や広い意味の政治性が強いものが多いように思われます。若者の学力に関する国際比較調査において、読む力によって明暗が分かれているようです。日本の若者の多くは、幼い頃から漫画やアニメ、ゲームなどに慣れ親しんでおり、特に「視覚による表現」には親しみを持ち、優れた感覚をもっているのではないでしょうか。もちろん、素晴らしい文化としての漫画・アニメ・ゲームもありますが、大学進学を目指す中高生のみなさんには、「文章による表現」からも多くのことを学んで欲しいと思っています。
 当学科には、「創作」の科目群があり、現役の創作家が俳句や短歌、小説、映像などの創作を直接指導しています。創作する際にも、まずは日本文学の伝統を踏まえ、日本語の歴史を知り、漢字漢文の素養を備えることが大切です。漢字・語彙力の有無によって出来上がる作品の重みが違ってくるのです。なお、本学が主催する「武蔵野文学賞」には高校生部門もありますので、ぜひ応募してみてください。
 文系の基礎学力は、得てして客観的には測定しきれない場合が多いのですが、漢字検定などの指標は客観的に学力の可視化ができます。検定に合格すれば、進学や就職においても確実に評価されます。大学生に対してだけではなく、中高生にも「受験勉強だけをするのではなく、漢検も受けなさい」と言いたいと思います。


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。


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