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株式会社富士通ビー・エス・シー

株式会社富士通ビー・エス・シー 代表取締役社長 小島 基 様

すべての社員に文章力トレーニングの機会を

代表取締役社長
小島 基 様

半世紀以上にわたり、ICTで社会に貢献

 株式会社富士通ビー・エス・シーは、コンピュータ黎明期から半世紀以上にわたりICT(情報通信技術)による社会変革を支え続け、2018年に創立55周年を迎えました。コンピュータにデータを入力するためのパンチカード(※)ビジネスからスタートした当社は、現在、“Broad Solution & Consulting”という社名が示すとおり、ソフトウェア開発をベースにコンサルティングからシステム構築・運用といったサービスまで、トータルに提供しています。

※パンチカード…厚手の紙に穴を開けて、その位置や有無から情報を記録する記録媒体。穿孔カードなどともいう。

「変える」を合言葉に様々な改革に着手

 55 年という長い年月にわたり会社が続いてきたことは大きな財産であり、歴史を築いた先人たちに感謝しています。しかし現状維持のままでは、目まぐるしく変化する事業環境で新たな歴史を刻み、更なる発展を遂げていくことはできません。富士通グループの企業理念でもある「常に変革に挑戦し続けること」が必要不可欠です。そのため私は社長就任当初から、「ビジネスのやり方を変える」「ビジネスの起点を変える」「会社の体質を変える」という 3 つの「変える」を合言葉に、様々な改革に取り組んできました。
 変化に対応できる強い組織づくりを目指すには、社員一人ひとりが変化に立ち向かい、乗り越えられる力を持つことが必要です。しかし、当社は事業領域や顧客業界ごとに仕事の進め方が異なるため、人材の流動性が少なく組織が硬直化しやすいという課題がありました。そこで、社員に変化の機会を与え、変化に対応できる強い組織をつくるため、定期的な人事ローテーションを実施しました。社員の様子を見ていると、組織の壁を意識しなくなり、社員同士が本音で話せるようになってきたようです。一人ひとりの個性をより発揮できる環境づくりが出来上がりつつあると感じています。また、改革に着手した当初は、変化への挑戦意識を向上させるために経営陣からの働きかけ(トップダウン)が必要でしたが、社員が自ら変化を経験したことで、ボトムアップで社員から「変化することが当たり前」という意識が浸透してきつつあるとも思っています。

たくさんの変化を通じて得たもの

 私自身、SE(システムエンジニア)として富士通株式会社に入社してから、3年に1回のペースで異動を経験し、国内外で様々な業務に携わってきました。環境が変われば、自分自身も変わらざるを得ません。その都度、無我夢中で自分を変え、新しい環境に自分を適応させてきました。たくさんの変化に向き合い自分を変える中で、「変化の中でこそ、人は成長できる」ことを痛感しました。だからこそ、社員には変化を恐れず、挑戦し続けてほしいと考えています。

成長には好奇心を持って主体的に取り組む姿勢が必要不可欠

 人が組織で働くうえで、自分の意思を消し組織の意向にただ従うのみでは、自分の創造性を活かすことはできません。これでは楽しくないどころか、組織内の慣習や権力に振り回されることにもなりかねません。主語は組織ではなく、常に自分に置くべきです。加えて、社員自身が自分の仕事の中で「面白い」と思える部分を見つけることが大切です。与えられた仕事をただこなすのではなく、好奇心を持って主体的に取り組む姿勢が、成長には必要不可欠だからです。

 人間はいずれ細胞が劣化し寿命を迎えますが、法人には寿命がありません。法人にとっての細胞とは、まさに社員一人ひとりです。社員一人ひとりが日々成長できていれば、法人の細胞は劣化せず、個人の寿命を超えて生きていくことができるのです。私自身、「昨日より今日、去年より今年の自分がどれだけ前進できているか」という自問自答を繰り返して、様々な変化を乗り越えてきました。社員にも、変化に挑戦し自身の新陳代謝を繰り返して、成長を続けてほしいと願っています。

文章力トレーニングの必要性

 文章力トレーニングは、すべての社会人に必要です。
 例えば、経営会議などで発表される報告資料でも、報告事項が断片的にしか書かれていないケースがあります。発表者は、詳しい情報を口頭で発表するのですが、口頭説明の内容こそが、伝えるべき内容の本質であることも珍しくありません。本質的な内容を書面に落としていないことで、その場にいない人が報告資料を読む場合や、複数回にわたって報告をする場合に、受け手が捉える内容や意味に齟齬が生じる可能性が高まります。
 以前ロンドンに駐在していた時、現地の方々の報告資料には、報告事項が過不足なく記載されていました。文書を読むだけで、報告者の伝えたい内容や意図がすぐに理解できるものでした。イギリスの学校教育では、早期から「相手に伝わる」文章を書くトレーニングが行われているそうです。そうしたトレーニングを徹底的に受けてきた彼らだからこそ、論理的でわかりやすい文書を当たり前に作成できるのだと感じました。逆に言えば、トレーニングさえ積めば、文章力は向上させることができるとも考えられます。「相手に伝える力」は階層問わず重要なスキルです。まずは率先垂範ということで経営層から順に、トレーニングの機会をつくりはじめました。

経営幹部層からトレーニングの機会を

 文章は、作成の過程も大変重要です。文章作成の目的に照らし、洗い出した内容を吟味し書くべきものを選択する。そして、書く要素や表現を研ぎ澄ませていき、伝えるべき事柄の本質に辿り着くという過程が、思考力を高めてくれます。文章検は、そういった文章作成の過程を体系化して学ぶことができ、思考力向上にもアプローチできるため、当社の社員育成に取り入れることに決めました。
 まずは人を指導する立場の社員からトレーニングしてもらいたいと思い、導入初年度は経営幹部層が文章検2級を受検しました。この取組みを順次拡大して続けていくことを計画しています。担当業務によっては、普段文章を書く機会がほとんどないという社員も少なくありません。機会がないばかりに、文章力が低下してしまうのは非常にもったいないことです。今後、受検対象を少しずつ広げ、多くの社員にトレーニングの機会をつくることで、文章力の維持・向上を図る体制ができればと考えています。はじめから上手に書けなくてもよいのです。まず、トレーニングの必要性を自覚することからスタートしてもらえればと思います。

これから社会に羽ばたいていく中高生・大学生の皆さんへ

 内定式で、私は毎年“読んで、考えて、書いて、相手に伝えるトレーニングをしてください”と話しています。インターネット上に溢れる情報は簡単に入手できる反面、すぐに忘れてしまう揮発性の高い情報ばかりです。書物を通じて文章としっかりと向き合い、自分の経験と照らし合わせたり、自分なりのイメージを捉える過程を経たりして初めて、内容の本質を理解することができます。こうして多くの物事について知り、考えることを通して「自分」を作っていってほしいと思います。「自分」があれば、好きな物事を発見して追求できるはずです。環境や偶然に身を任せて人生を歩むのではなく、自分で考えてつかみとった道を歩めば、きっと未来は拓けると信じています。


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。

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