第13回 今、あなたに贈りたい漢字コンテスト大学生・一般部門 受賞作品
「歩」
夫 へ
妻 より
新婚旅行の時、早足の貴方に付いて行くのに必死だった私。これに懲り貴方との旅行を敬遠してました。先日、久方ぶりの二人での旅行。貴方と私の歩調がピタリと合ってましたね。三十年連れ添った証。これからも二人でゆっくり人生を歩んでゆきましょう。
栄 直美 さん
愛媛県・主婦
「愛」
祖父 へ
孫 より
亡くなった祖母の写真を、あなたは財布に入れて、毎日眺めていたんだね。サランラップで大切に包まれたその一枚に、「愛」とはどういうものか分かった気がした。じいちゃんの遺品の中から出てきた、祖母への溢れる不器用な愛情に涙が止まらなくなりました。
簗田 晃子 さん
秋田県・教員
受賞者コメント
この度は素晴らしい賞に選んで頂き、驚きと嬉しさで胸がいっぱいです。今年は祖父の十三回忌という節目の年でもあり、今回の受賞は私だけではなく亡き祖父母の想いも重なった結果だと思います。本当にありがとうございます。祖母が亡くなってから、広い一軒家で1人、祖父がどんな思いでこの写真を眺めていたのかと思うと涙が止まりませんでした。同時に、誰かを大切に想うとはどういうことなのかを教えてもらった気がします。祖父の財布と、ラミネートではなく、サランラップに大切に包まれた祖母の写真と共に表彰式に出席しようと思います。
審査員からのコメント
協会賞、おめでとうございます。
「不器用な愛情」という表現から、ご祖父様の人となりを想像してみました。
はじめ、財布に入れた写真は紙そのままだったのではないでしょうか。大切な妻の写真。見るたびに擦れて汚れてしまう。どうしたものかと考えたが、写真用ビニール袋など思いつくはずもなく、かといって、家族に相談するのも照れくさい。そうして思い浮かんだのは「サランラップ」。家族のいないところで、丁寧に包んで、そっと財布に入れていたのではないでしょうか。
考えて工夫した「サランラップ」だったからこそ、ご祖父様の想いや所作、人となりが、様々に想像できます。
想像することで、思わずもらい泣きしてしまいそうな良い作品でした。
山崎信夫
「創」
お婆ちゃん へ
千佳 より
七十歳すぎてお菓子の販売を始め、家族や近所の人も巻き込んで、収益で家を改築しやり遂げた。鞄一つで海外を旅したお婆ちゃん。お婆ちゃんの未来を自分で創り出す姿が私の力になっているよ。私は四十四歳にして看護師を目指すことにした。
平田 千佳 さん
広島県・学生
受賞者コメント
このたびは、このような栄えある賞をいただき、心より感謝申しあげます。私が祖母に贈った「創」という1文字には何もないところから人生を切り開いてきた祖母への尊敬と、尽きることない感謝の気持ちを込めました。祖母は70歳を過ぎてからも挑戦を続け、かりんとうを1から学び販売を始めました。その後も仲間に支えられながら飛躍を続け、得た収益を手に鞄1つで海外へ飛び出していくようなかっこいい祖母でした。そんな祖母の姿は今も私の原動力でありその背中に勇気をもらい、私は45歳で看護学校への進学を決意しました。これからも祖母から受け取った“創る力”と“ワクワクする心”を胸に、自分の中から生まれる「創」で社会に還元していきたいと思います。
審査員からのコメント
祝 おめでとうございます。
いつも身近で見ていたお婆ちゃんの行動力と生き方が、千佳さんの心を育て、未来の創り方を教えてくれたように感じました。
七十歳を過ぎてから起業し成功するなんて天晴‼︎です。その美味しいお菓子を私も食べてみたいです。
バイタリティのあるお婆ちゃんの遺伝子を受け継いだ千佳さんが看護師を目指すことになったのは、「心の中にあるモノやコトを未来にカタチにするには歳なんか関係ないわよ‼︎」という姿を見てきたからでしょう。さあ千佳さんの未来への挑戦が始まりました。時には傷つく事もあると思いますが、その時はお婆ちゃんが絆創膏になってくれることでしょう。命‼︎
ゴルゴ松本
「還」
これからの私 へ
今までの私 より
60歳の終わりに滑って転んで私は左足首を骨折した。今までの私は仕事に子育て、その時できる全てを一生懸命頑張ってきた。そんな私が歩けない。0歳に戻ったのだ。還暦に骨折で人生スタートラインに帰還。今度は自分の好きに生きよう。もうワクワクが止まらない。
寺西 啓子 さん
愛知県・会社員
受賞者コメント
え、ホントに?応募してからずいぶん経っていたのでお知らせが届いてびっくりしました。素直に嬉しくて家族はもちろん、実家の母にまで連絡しました。骨折してしまったことは大きなマイナスで正直今もまだ元通りではありません。けれど骨折したから受賞できたのも事実。還という漢字を思いついたらどんどんポジティブになって本当にわくわくしてきました。怪我してわくわく?マイナスをプラスに変える思考で明るく生きていきたいと思います。
審査員からのコメント
祝 おめでとうございます。
「もうワクワクが止まらない。」この言葉が大好きです。想いや気持ちが沸騰するようにウキウキ、ドキドキになっている状態。その瞳がキラキラと輝く姿が想像できます。
滑って転んで骨を折る。とっても痛かったでしょうね。激痛‼︎しかしそれがきっかけで「ワクワクが止まらない」状態。不思議ですね。
「還」には「ひとめぐり。もといた場所に戻る。もう一度。」などの意味があります。還暦に歩けなくなり、人生のスタートラインに帰還。痛みのあとに始まるとは、出産のようですね。これから新たな人生スタート‼︎六十年間全てを一生懸命に頑張ってきた今までの私からの最高のプレゼントです。命‼︎
ゴルゴ松本
「動」
息子 へ
母 より
落ち着きのない君に毎日怒ってばかりでごめんね。お腹の中にいた時、胎動を感じては、「元気な子に育ちますように。」って願っていたの。今、その願いを叶えてくれているんだよね。元気に育ってくれて、本当にありがとう。とりあえず、机の上からおりようか。
井口 未来 さん
東京都・主婦
受賞者コメント
このような素晴らしい賞をいただき、身に余る光栄でございます。
周りの目が気になってしまい、親のエゴのせいでガミガミしがちな子育ての戒めのためにと筆を執りました。
『動』という漢字を分解してみると、「重」と「力」で「重力」になります。「重力」は、私たちの存在を支える物理現象なのだとか。こんなことを考えていると、ふと、彼がお腹の中で初めて動いた日のことを思い出したのです。
彼がお風呂上がりにテーブルの上に乗り、一糸まとわぬ姿で踊っているのは「僕はここに存在している!」ということを体現しているのかもしれません。
『動』とは、命の原点なのだ! そんなことに気づかせてくれた息子には、感謝の気持ちでいっぱいです。
審査員からのコメント
祝 おめでとうございます。
机は立ち上がって飛び下りるモノではない。だからお母さんから怒られる。分かっているけど、高い所に上がるのが元気な子ども‼︎だって大人になった気分になれるし、楽しいじゃない‼︎正義の味方やヒーローになれるんだ。
「動」には「心がときめく。心にひびき感ずる。」という意味もあります。子どもは未来に向けて、心をときめかせ、行動力という「動」を養っているのです。胎動を感じていたのは既に「感動」という「動」を味わっていたのです。祈り願われた子どもは、元気に育って心が動く‼︎心を動かす‼︎立派な人になっていくことでしょう。その時までお母さんの注意の一言を発動しましょう。命‼︎
ゴルゴ松本
- 盧 逵錫 さん(神奈川県・教員)
- 花岡 隼佑 さん(埼玉県・教員)
- 鈴木 恵 さん(群馬県・主婦)
- 三村 幸子 さん(栃木県・主婦)
- 伊藤 摩利子 さん(茨城県・公認心理師)
- 的場 亜由美 さん(東京都・主婦)
- 村中 いちよ さん(東京都・会社員)
- 宮原
子 さん(長野県・主婦) - 小原 典子 さん(広島県・養護教諭)
- 神保 美穂子 さん(神奈川県・主婦)
※ 受賞者の都道府県、団体名、年齢、職業は応募当時のものです。
※ 基本的には応募作品の原文をそのまま掲載しておりますが、一部修正を加えている箇所がございます。ご了承ください。
受賞者コメント
この度は大変素晴らしい賞を頂き心より御礼申し上げます。
亡き母の言葉を思い出しました。
「この人となら幸せになれる。ではなく、この人とならどんな苦労も乗り越えられる。って思える人に出会えるといいね。」
そう思わせてくれた夫との出会いに感謝しかありません。
これからも二人寄り添い支え合い、ゆっくり歩んで行こうと思っております。
改めまして名誉な賞を頂きありがとうございます。
審査員からのコメント
祝 文部科学大臣賞!おめでとうございます。
「貴方と私の歩調がピタリと合ってましたね。」この一言で三十年の時を経て、ついに夫婦が同じ景色を同じ時間を笑顔で過ごした最高の旅行だったのだと感じました。「三十年連れ添った証」と言うけれど、これはひとえに奥様の教育の賜物ではないでしょうか。
野球にも敬遠というものがあります。一塁へ独りで歩かせます。奥様の敬遠は実に三十年。あれから三十年。性質や趣味が似てきて、似た者夫婦になったのでしょうね。一歩一歩踏みしめて進むことを「進歩」と言いますが、心で歩むと書いて「心歩」もぴったりと合いますね。
これからもお二人仲良く、世界中を歩み続けて下さい。命‼︎
ゴルゴ松本