公益財団法人 日本漢字能力検定協会

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今、あなたに贈りたい漢字コンテスト

小学生部門 受賞作品

絆大賞

おばあちゃんへながともゆうより「手」

永友 佑 さん
(岐阜県・岐阜市立長森東小学校 2年生)

おばあちゃんは、いつも、ぼくの手をにぎってくれます。ぼくが、おこっているときも、ないているときも手をにぎってくれます。そうしてもらうと、ぼくは、とても気もちよくなります。ぼくは、あたたかくて、やわらかいおばあちゃんの手が大すきです。

審査員からのコメント

佑くんの心の動きに対するおばあちゃんの愛情が手のぬくもりを通じて伝えられ、「気持ち良くなり」、心の安定を得られている様子が感じられます。また、「あたたかくて、やわらかいおばあちゃんの手が大好きです」という表現の中に、佑くんのおばあちゃんに対する信頼、感謝の心が見られ、おばあちゃんとの絆をより深くしている様子がうかがえます。「手」という一文字の中に日常の何気ない心の通い合いがあふれる姿が見られることが絆大賞にふさわしいものになっています。(池田 芳和)

日本漢字能力検定協会賞

おばあちゃんへりなより「彩」

大原 梨奈 さん
(群馬県・高崎市立上郊小学校 6年生)

私は、祖母に「彩」という字を送りたいと思います。祖母は、私と一緒にお買い物に行くと「春になってきたわね」と並んでいる野菜や果物を見て必ず季節を私に教えてくれます。祖母の作るお料理は本当にたくさんの彩りが豊かで目でも楽しませてくれます。テーブルの上をいつもいろいろな彩りでいっぱいにしてくれる祖母に私は、四季の大切さを教えてもらったと思います。色彩豊かな食卓に感謝したいです。

審査員からのコメント

優しいおばあさん。三世代家族が少なくなった現在、おばあさんに恵まれた梨奈さんの幸せそうな毎日の生活が目に浮かび、羨ましくさえ思えました。移り変わる日本の四季の大切さ、季節ごとに変化する豊かな食卓を「彩」という言葉で表現したのは素晴らしいと思いました。一字一句丁寧に書かれた文章に心がこもっていました。(髙坂 節三)

審査員特別賞

おばあちゃんのお兄さんへ伊藤佳奈より「命」

伊藤 佳奈 さん
(静岡県・御殿場市立原里小学校 6年生)

私は、この字を選びました。なぜかと言うとおばあちゃんの実家が牧場で、私のひいおばあちゃんくらいから牛を育てていて、遊びに行くと、手伝いをさせてくれ動物の生命の大事さ、重さをおしえてくれました。おじさんのおかげで一つの生命を大事にしていけそうです。牛の世話をしている姿は、とてもまぶしいです。おじさんが教えてくれた「命」を贈ります。

審査員からのコメント

生き物を育てるという仕事はとても大変な仕事です。牛の成長を楽しみにしつつ、毎日牛舎の中で世話をするおじさんの姿の中に命を大切にすることの心が学べたのでしょう。
おじさんの仕事ぶりを見て、「まぶしい」と表現できる佳奈さんの心優しさを感じます。贈る【命】を毛筆で書いてくれていることも印象深いです。(池田 芳和)

保育園の友達へ植月桃花より「菜」

植月 桃花 さん
(東京都・練馬区立泉新小学校 4年生)

私が「菜」をえらんだ理由は私は菜ノ花が大好きです。たまたま保育園の近くにあったので、菜ノ花をいっぱいとっていました。私が保育園に入って1回も友達が出来なかった時に「菜ノ花好きなの?」と聞かれたのでうなずいたら「そっか。」と言って5分ぐらいたったらさっきの子が菜ノ花の花束をもって「はい。」と言ってわたしてくれました。私は「ありがとう。」と言って友達になりました。

審査員からのコメント

友達のいない寂しさを感じているときに、大好きな「菜の花」の花束をくれた友達の温かい気持ちが忘れられないというのはとてもよくわかります。ほんとうにうれしかった出来事を今も忘れず、心の糧にしている桃花さんは、このときの気持ちを持ち続けているのでしょう。そのときの気持ちを漢字でお友達に贈るというのはすばらしいですね。(池田 芳和)

おばあちゃんへかなでより「花」

榎本 奏 さん
(埼玉県・鶴ヶ島市立藤小学校 3年生)

わたしのおばあちゃんは、お花の先生をしています。洋服はいつも色あいよくきめていてとてもすてきです。つくえの上には、おばあちゃんが作ったきれいなお花の作品がいつもおいてありへやが明るく見えます。なのでおばあちゃんのおうちには、お花にみつばちやチョウが集まるようにたくさんのお友だちが来るのでおばあちゃん自身がまるでお花のようです。そんなおばあちゃんにぴったりな花という漢字をおくります。

審査員からのコメント

奏さんのおばあちゃんに対する尊敬とあこがれが「花」の漢字を送るきっかけになっているように思います。お花の先生、洋服の色合い、花の作品、多いお友達など、華やかなおばあちゃんの生き方にあこがれている様子が伝わってきます。しっかりした文字でおばあちゃんを花にたとえた贈る言葉もすてきですね。(池田 芳和)

佳作

  • 荒川 陽菜 さん
    (東京都・世田谷区立赤堤小学校 3年生)
  • 安藤 優汰 さん
    (埼玉県・小川町立大河小学校 3年生)
  • 今福 莉樹 さん
    (東京都・練馬区立光が丘四季の香小学校 5年生)
  • 今村 千砂 さん
    (群馬県・前橋市立原小学校 3年生)
  • 大野 紅 さん
    (京都府・八幡市立中央小学校 6年生)
  • 木村 華子 さん
    (京都府・八幡市立中央小学校 6年生)
  • 草野 弘樹 さん
    (福島県・玉川村立須釜小学校 6年生)
  • 合力 愛華 さん
    (佐賀県・唐津市立大志小学校 5年生)
  • 小塩 咲哉 さん
    (大分県・大分市立森岡小学校 2年生)
  • 小室 杏花 さん
    (東京都・世田谷区立塚戸小学校 2年生)
  • 篠﨑 絢 さん
    (神奈川県・相模原市立共和小学校 6年生)
  • 柴田 皓平 さん
    (北海道・伊達市立伊達小学校 6年生)
  • 高田 峻佑 さん
    (富山県・富山市立水橋西部小学校 5年生)
  • 田村 梨紗 さん
    (群馬県・前橋市立山王小学校 4年生)
  • 中田 瑞希 さん
    (東京都・豊島区立高松小学校 6年生)
  • 濱野 藍生 さん
    (石川県・白山市立千代野小学校 6年生)
  • 松嶌 にこ さん
    (富山県・高岡市立戸出東部小学校 4年生)
  • 三輪 優希 さん
    (岐阜県・岐阜市立長森東小学校 1年生)
  • 森田 彩音 さん
    (鹿児島県・南さつま市立大浦小学校 3年生)
  • 栁原 日和 さん
    (岐阜県・帝京大学可児小学校 2年生)

中学生部門 受賞作品

絆大賞

家族へ夏季より「迎」

山口 夏季 さん
(神奈川県・山北町立三保中学校 3年生)

毎日、毎日、家で迎えてくれるあなたの存在にありがとう。
毎日、毎日、迎えてくれる憩いの場にありがとう。
毎日、毎日、迎えてくれる温かい心にありがとう。
自分が安心してホッとする場は家であり、家族に囲まれた空間です。自分にそのような場が在ることはとても幸せなことだと思います。これから先も、ずっと、みんなを迎える温かい家族でいようね。

審査員からのコメント

絆大賞おめでとうございます。3行にわたっての「毎日、毎日、~ありがとう」というリズミカルな言葉の繰り返しが、家族のあたたかい雰囲気をかもし出しています。温かく、安心して過ごせる最高のやすらぎの場である家族への感謝の気持ちが素直に表現されている、心あたたまる素晴らしいメッセージです。中学校生活での楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、つらい思いをしたことなど、何でも受け入れて迎えてくれる家族の様子が十分に伝わってきました。家族に「迎」という漢字を贈ることにより、益々その絆が深まっていくことを期待しています。(壷内 明)

日本漢字能力検定協会賞

両親へ木村京香より「望」

木村 京香 さん
(青森県・八戸市立小中野中学校 3年生)

私は母と父の子に生まれてきて世界一幸せ者です。東日本大震災で大きなゆれが生じたとき、母は私をかばうようにして「大丈夫」といつもの温かい声で守ってくれましたね。父は出張先からわざわざ飛行機で私たちの元まで戻ってきてくれましたね。家族四人集まり顔を見ると安心して涙が止まりませんでした。怒られて反抗してしまうのは家族が私にとって安心できる居場所だからです。子は親を選べないというけれど私は母や父のもとを望んで生まれてきました。将来母のような女性になって父のような男性と結婚します!

審査員からのコメント

家庭崩壊が叫ばれ、家庭よりも自由が大切という風潮が広がっている今日、お母さん、お父さんに心から甘え、家族の大切さを体中で感じている京香さん。大震災は本当に悲劇でしたが、家族の「絆」の大切さを思い起こし、母や父のもとを「望」んで生まれ、将来母のような女性になって父のような男性と結婚するのが「望」であると言い切れる京香さんはもとより、ご家族全員温かい雰囲気が伝わってきました。(髙坂 節三)

審査員特別賞

駅伝部のみんなへ斉藤来実より「一」

斉藤 来実 さん
(埼玉県・川口市立幸並中学校 3年生)

今まで、1日1日つらくて苦しい日々を一緒に乗りこえてきた駅伝部のみんな。1つのことを目標にして頑張ってきた私たちはお互いがかけがえのない存在です。「1人のケガはチームのケガになる」「1人1人のタイムはチームのタイムになる」私たちが1番意識してきたこと。1人でも欠けてしまったら私たちのチームは絶対に、どんなに頑張っても成り立ちません。1歩1歩を大切に、1秒1秒を大切に、1本のたすきをつないで、心を1つにがんばろう。「ONE For ALL , ALL For ONE」

審査員からのコメント

駅伝部の仲間と心を一つにして目標に向かって全力で頑張ろうという意気込みを「一」という漢字で表現した説得力あふれたメッセージです。「一」のもつ意味を有効に使いながら、駅伝部のみんなにこの漢字を贈るとともに、自らの気持ちをも奮いたたせながら目標に向かって突き進もうという意気込みが伝わってきました。チームメイトとの一体感やつながりをさらに一層強固にしようという素晴らしい内容です。皆さんのご活躍を期待しています。(壷内 明)

家族へ野口英梨より「彩」

野口 英梨 さん
(岩手県・洋野町立種市中学校 1年生)

いつも周りをとりまいているたくさんの色。お母さんの明るい色、お父さんの頼れる色、兄のすごい色、姉のきれいな色、祖母の優しい色、祖父の立派な色。みんなの彩りあふれるその個性が大好きです!たまにはケンカもあるし、衝突もするけれど、その分仲直りして、たくさん笑い合って、幸せだなぁと思います。そんな家族のあったかい色が、これからもずっと薄れないでほしいです。

審査員からのコメント

家族の一人一人には、それぞれの個性と役割があります。その個性を「彩」という漢字で表し、今の家族の幸せがこれからもずっとずっと続きますようにとの願いが込められた素晴らしいメッセージです。どんなことがあっても「家族のそれぞれの色」は薄れない、安心と信頼の絆で結ばれたあたたかい家族への感謝と思いが込められている内容です。家族全員が力をあわせればどんな困難なことでも乗り越えられますね。ご活躍を期待しています。(壷内 明)

バレー部の仲間へ久永春音より「繁」

久永 春音 さん
(東京都・板橋区立加賀中学校 2年生)

バレーボールは1つのボールを6人のプレーヤーで繋ぐもの。でもね、プレイヤーはたった6人でも、私の仲間は6人じゃない。コートの外で応援してくれる君も、ここまで育ててくれたあなたも、精一杯ご指導してくださる方も、みんなみんな仲間なんだ。だから私は、コートの中で、ボールを繋ぐのと一緒に、みんなの思いも繋ぐんだ。みんなで目指してきた1つの目標をかなえるために、この思いと、このボールを繋いでみせるんだ。

審査員からのコメント

バレーボールを通じての仲間とコートの外で支えてくれる仲間に対しての熱い思いを「繋」という漢字で表現している素晴らしいメッセージです。バレー部の仲間6人が共通の目標に向かって、心と心を繋いで練習に励んでいる様子が伝わってきました。きっと支えてくれる仲間から大声援を受けながらはつらつとしたプレーをして、目標達成に向かって勝ち進んでいるのではないかと想像されます。皆さんのご活躍を期待しています。(壷内 明)

佳作

  • 赤塚 えり さん
    (福島県・いわき市立大野中学校 3年生)
  • 新城 慧悟 さん
    (沖縄県・竹富町立波照間中学校 2年生)
  • 伊藤 大心 さん
    (東京都・日野市立三沢中学校 2年生)
  • 大場 沙耶 さん
    (千葉県・千葉市立葛城中学校 2年生)
  • 岡田 昇太 さん
    (佐賀県・早稲田佐賀中学校 1年生)
  • 香川 晴美 さん
    (東京都・日本大学豊山女子中学校 1年生)
  • 加瀬澤 実穂 さん
    (静岡県・静岡市立清水第二中学校 2年生)
  • 桂 祐貴 さん
    (大阪府・和泉市立光明台中学校 1年生)
  • 久保田 光 さん
    (埼玉県・川口市立幸並中学校 3年生)
  • 桑原 雄太 さん
    (東京都・町田市立金井中学校 3年生)
  • 小坂 深幸 さん
    (青森県・七戸町立榎林中学校 3年生)
  • 小森谷 魁人 さん
    (埼玉県・ さいたま市立大原中学校 2年生)
  • 佐尾 歩乃佳 さん
    (大阪府・吹田市立第三中学校 1年生)
  • 佐藤 吹生 さん
    (群馬県・太田市立生品中学校 1年生)
  • 髙木 勝也 さん
    (神奈川県・厚木市立睦合中学校 3年生)
  • 中里 桜 さん
    (福岡県・福岡雙葉中学校 3年生)
  • 中野 陽菜 さん
    (埼玉県・さいたま市立浦和中学校 1年生)
  • 古澤 愛子 さん
    (群馬県・伊勢崎市立殖蓮中学校 2年生)
  • 安田 澪冬 さん
    (大阪府・吹田市立第三中学校 2年生)
  • 若山 奈央 さん
    (岡山県・金光学園 2年生)

高校生部門 受賞作品

絆大賞

母へ志保より「背」

中野 志保 さん
(徳島県・県立新野高等学校 3年生)

小さい頃、「仕事に行く母の背中」が大嫌いでした。
「仕事行かないで」って泣きながら母を追いかけて・・・。その背中が今も心に残っています。あれから15年ほどたち、私は今高校3年生になりました。将来のことを悩んだ時、母の背中を思い出しました。そして、将来の夢として選んだ仕事は、母と一緒の仕事。その夢を見つけた時、あの頃大嫌いだった母の背中は、今では憧れの背中へ変わっていることに気がつきました。これからは、母の背中を追って夢へ向っていきます。

審査員からのコメント

お母さんに贈った「背」という漢字には、中野さんが大人へと自立しつつある成長した姿、身の丈がずっしりと詰まっていて、子と母の緊張感のある成熟した絆が伝わってきます。贈り手である中野さんの決意と贈られたお母さんの安堵感とが、新たに大人としての繋がりを作り上げていくことが容易に想像され、そのことが評価のポイントとなりました。
だれもが親の姿を見て育っていきます。正面から見る親の表情は具体的で多くのことを語りかけてくれますが、その奥にある背には、より本質的で大切なことがそっと隠されているように思われます。中野さんも自分では決して見ることができない「背」に人としての財産を沢山蓄えていってほしいと願っています。(戸谷 賢司)

日本漢字能力検定協会賞

コーヘイへエリより「傘」

長浜 恵利 さん
(沖縄県・県立八重山商工高等学校 3年生)

この漢字は一つかさの下の意から、ある中心人物のもとに多くの人が集まるという意味があります。あなたの周りにはいつもたくさんの人がいます。それは、あなたが誰にでも変わらぬ心で接しているからだと思います。
いつかあなたの傘に私も入れてください。

審査員からのコメント

「雨雨降れ降れ母さんが、蛇の目でお迎え嬉しいな」という時代は過ぎ、コンビニで安い傘で間に合わす時代になりました。「傘」の意味も変わりました。しかし一つの「傘」の下に集まるという意味の「傘」は変わらずあり続けています。誰にでも変わらぬ心で接して、多くの友達が集まる中心人物であるあなたの「傘」に入れて欲しい、という素直で一途な気持ちがありありと伝わってきました。(髙坂 節三)

審査員特別賞

市高の先生へ礒田紀美子より「墾」

礒田 紀美子 さん
(兵庫県・伊丹市立高等学校 4年生)

私が54歳で高校に入学して勉強や高校生活面で不安に思ってた時に、たくさんの先生からやさしく声をかけて頂き、勉強も一から教えて頂きました。空っぽの頭と心を温かい言葉で耕して下さって、勉強、勇気、自信の種を蒔いて下さいました。四年間、時には、ほめて、時には励まして下さいました。
お陰様でもうすぐ卒業という華が咲きます。学ぶことの楽しさ、大切さなど教えて下さって穏やかな心で高校生活を送ることが、できました。
ありがとうございました。

審査員からのコメント

「墾」には、50歳を過ぎての高校生活でさまざまな困難を乗り越えてきた礒田さんの勉学への強い思いとそれ以上に高校生活の支えとなってくれた先生方への心からの感謝の気持ちが込められていることが容易に伝わってきます。荒地を切り拓いて耕す作業はとりもなおさず教育の仕事です。贈られた先生方もさぞ快く受け取り、礒田さんとの絆を感じることでしょう。(戸谷 賢司)

私の大切な文通友達へ冨澤栞より「字」

冨澤 栞 さん
(山形県・県立寒河江工業高等学校 1年生)

私はあなたの文字が大好きです。楽しい話題の時は踊るような、はねるような字。悲しい話題の時は少ししぼんだ小さな字・・。あなたの文字には表情がありますね。あなたの手紙を読んでいると、まるであなたと面と向かって直接はなしているようです。私はあなたの元気いっぱいなはじけるような笑顔を手紙の文字を通していつも感じます。私は、あなたの少し右あがりで、縦長で、くせのとても強い、あなたにぴったりな文字がとても大好きです。

審査員からのコメント

文通友達に贈った漢字、「字」には冨沢さんの豊かな感性と文通相手への細やかな思いが詰まっていて、とても爽やかな印象を受けました。また、文字を生活の一部として大切にし、文通を通じて共に高校生活を充実したものにしていることが容易に伝わってきます。このことが評価のポイントとなりました。きっと贈られた友人もさらに友情を強固なものと感じてくれるでしょう。(戸谷 賢司)

母へ息子より「諦」

星 啓太 さん
(大阪府・大阪市立南高等学校 3年生)

この漢字を贈りたい。十年前、父が出て行ってから、女手一つで僕を育ててくれた母に。
語源は「物事を見極める」、「心の中を明かす」という意味なのだ。
がむしゃらに頑張る姿は、現実から逃げているようにも見えたんだ。
だから一度立ち止まって、周りを見極め、心の中を明かしてほしい。
十年前の僕とは違う。今なら母さんを支えられるから。

審査員からのコメント

星君が贈った漢字「諦」からは、思春期を抜け出し、一人前の男性へと脱皮している姿や大人としての気遣いを母に伝えようとしている様子がよく伝わってきます。
「諦」という漢字を贈られたお母さんも、成長した息子の大人の匂いを感じ取り、さぞ快い驚きとともにほっと肩の荷を下ろされることでしょう。親子の新たな絆が生まれようとしている、このことが評価のポイントになりました。
(戸谷 賢司)

佳作

  • 伊藤 佳乃子 さん
    (高知県・高知工業高等専門学校 2年生)
  • 稲毛 智英 さん
    (宮城県・県立仙台東高等学校 3年生)
  • 大山 結嘉 さん
    (青森県・八戸聖ウルスラ学院高等学校 3年生)
  • 影山 佳奈子 さん
    (北海道・帯広市立北海道帯広南商業高等学校 3年生)
  • 河村 萌乃 さん
    (山口県・県立岩国商業高等学校 3年生)
  • 小此内 寧々 さん
    (千葉県・テモテ・グローバル・アカデミー高等科 1年生)
  • 近藤 りな さん
    (山口県・下関短期大学付属高等学校 3年生)
  • 財津 仁美 さん
    (福岡県・北九州市立高等学校 3年生)
  • 佐藤 可奈子 さん
    (宮城県・県立志津川高等学校(アビバキッズ志津川教室) 1年生)
  • 三野宮 舞 さん
    (北海道・道立北海道室蘭清水丘高等学校 3年生)
  • 菅原 沙英 さん
    (宮崎県・県立赤江まつばら支援学校 2年生)
  • 田中 瑞生 さん
    (青森県・八戸聖ウルスラ学院高等学校 3年生)
  • 常藤 由紀 さん
    (福岡県・純真高等学校 2年生)
  • 新山 千尋 さん
    (大阪府・府立門真なみはや高等学校 1年生)
  • 原田 優唯 さん
    (和歌山県・和歌山市立和歌山高等学校 2年生)
  • 古川 あづさ さん
    (福島県・県立若松商業高等学校 2年生)
  • 古田 有里奈 さん
    (徳島県・県立辻高等学校 2年生)
  • 村上 美宮 さん
    (大阪府・大阪市立南高等学校 1年生)
  • 吉田奈未 さん
    (北海道・道立北海道室蘭清水丘高等学校 3年生)
  • 和野 友香 さん
    (北海道・道立北海道室蘭清水丘高等学校 3年生)

一般部門 受賞作品

絆大賞

娘へ母より「安」

清水 真弓 さん
(大阪府・清水書道教室 代表)

「安」の字源は家の中に女がすわっているさま。
仕事と家事で忙しかった頃よくこの「安」の文字を想い浮かべました。母が家に居て「おかえり」と言って子供を迎えられる「安」に憧れを持ちながら、その文字と程遠く時間に追われていました。そして今、ゴールを急いで先に逝ってしまった最愛の娘にこの「安」の文字を贈ろうと思います。

審査員からのコメント

筆で書かれた「安」の字を見たとき、何だか母の胎内にいるような深い安らぎを覚えました。何とも味わいのあるすばらしい字を書いてくれました。しかし、その裏には最愛の娘を失った深い悲しみがあったということを知りました。娘さんに「安」を贈ることで、悲しみを乗り越えようとされたのですね。
「安」は、家の中で女が座っているさまを示しているということを初めて知りました。確かにそうですね。「安」は「母」でもあるのですね。
十九年前、八十一歳で亡くなったわが母を思い出しました。家に帰って、母がいなかったときの寂しさも思い起こしてしまいました。(橋本 五郎)

日本漢字能力検定協会賞

義理のお姉さんへフエンより「笑」

LE DIEU HUYEN さん
(埼玉県・日本語教師)

兄のお嫁さんになってくれてありがとう!私と兄は二人だけの兄弟なので子供の頃からいつも姉がほしかった。兄が結婚する日に「やっと姉ができた」と思ってとても嬉しかった。ニコニコしながら「子供ができた」と報告したお姉さんの幸せな顔を今も思い出している。しかし、病院で子供がなくなったその日のお姉さんの顔も一生忘れられない。その日のことを考えるたびに胸が痛くて痛くてたまらない。私ができるのはお姉さんが泣くのを見るだけだった。その時どんなことを言っても意味がないと思ったからだ。私がお姉さんに一番贈りたいのは「笑」だ。お姉さんの幸せな顔をもう一度見たい。

審査員からのコメント

日本語勉強のために留学中のフエンさん、お兄さんと義理のお姉さんが日本に住まわれているのか、母国のベトナムでのできごとか判りませんが、生まれたばかりのお子さんを亡くされたお姉さんの気持ちに添ってあげるフエンさんの気持ちが私たちにも伝わってきます。「泣」くのをやめ、「笑」顔を見たい。心優しいフエンさんの美しい日本語で書かれた文章に拍手を送ります。(髙坂 節三)

審査員特別賞

弟へ兄より「旦(あした)」

菊地 彬 さん
(神奈川県)

障害児を抱え、肝心の妻までが半身不随の病魔におそわれ、途方に暮れる我が弟よ。
憂患の念を込めて「旦」の一字をおくる。
元旦は年の始まり、晨旦は一日の始まり。新しい旦(あした)を信じて苦難に立ち向かってくれ。
愈々の時には俺がいる。

審査員からのコメント

弟さんは大変ですね。「幸せな家庭は一様に幸せである。不幸な家庭はとりどりに不幸である」というトルストイの『アンナ・カレーニナ』の一節を思い出しました。でも、弟さんは幸せかもしれません。全身で守ろうとするお兄さんがいるのですから。
そうだ、「旦(あした)」があるのだ。辛くとも希望を持って生きていかなければならない。私も激励されたような気持ちになり、明るくなりました。(橋本 五郎)

娘たちへおかあさんより「恕」

菅原 千恵子 さん
(東京都・主婦)

「あなた達に一生心に留めておいてもらいたい言葉があります。それは『恕』です。覚えていますね。」大学の卒業を前に、お世話になった先生からいただいた言葉。おかあさんは今も忘れません。ふたりも中学の国語で勉強しましたね。『論語』の中で、子貢が先生である孔子に質問します。「死ぬまで行うべきような、ひとつの言葉はありますか」と。孔子は「それは恕だ。自分がしてほしくないことを、人にしてはいけない。」と答えます。人の信頼を裏切らない、思いやりの心を忘れない、ということですよ。なかなか難しいけれと、これから更に人と成っていくふたりに覚えておいてほしい。いえ、少しずつ日々実践していってほしい言葉です。素敵な人になってね。

審査員からのコメント

娘さんたちへの何よりの贈り物ですね。福澤諭吉が、夫婦を結びつけるものは「愛・敬・恕」と書いているのを思い出しました。「恕」は人間同士の関係でもとても大事で、お互い相手の立場に立って許し合うことができる気持ちであると説いています。
娘さんたちはこれからの長い人生の節目節目で、お母さんの尊い教えを思い出すに違いないと思いました。(橋本 五郎)

山口さんへ昂子より「進」

山口 昂子 さん
(岩手県・教員)

あなたと出会って約8年。結婚する前も、結婚してからも、何年もの間、外国での仕事を夢見て英語の勉強をし続けてきましたね。夢が実現し、11月からいよいよアメリカ行きです。ずっとそばで見てきたあなたの努力、本当にすごいな、と思います。私は、すぐには一緒に行くことはできないけれど、日本で毎日あなたのことを応援しています。
自分の力で新たな道を拓いたあなた。
体に気をつけて、その道を信じ、突き進め!!

審査員からのコメント

私にはある光景が浮かんできました。夢の実現のため、仕事を終え家に帰ってから深夜まで一心不乱に勉強している夫に、妻が「疲れたでしょう」とそっとお茶を差し出す。夫はその温かさでまた頑張ろうという気持ちになる――。
どんな困難が待ち構えても前向きに進もう。その気持ちを側で支えている人がいるというのはどんなに幸せなことだろうと羨ましく思いました。(橋本 五郎)

佳作

  • 荒井 陽子 さん
    (神奈川県・主婦)
  • 池内 春美 さん
    (山口県・接客業)
  • 伊藤 典子 さん
    (青森県・主婦)
  • 稲濱 佑美 さん
    (兵庫県・主婦)
  • 大谷 峯代 さん
    (徳島県・主婦)
  • 岡本 浩子 さん
    (愛知県・主婦)
  • 岡本 成子 さん
    (新潟県・教員)
  • 岡本 嘉子 さん
    (兵庫県・看護師)
  • 金岡 たか子 さん
    (広島県・公務員)
  • 黒川 絵理 さん
    (長崎県・主婦)
  • 佐治 司 さん
    (滋賀県・会社員)
  • 竹田 いづみ さん
    (埼玉県・主婦)
  • 田代 隆士 さん
    (宮崎県・広告美術業)
  • 谷本 良裕 さん
    (徳島県・教員)
  • 村竹 繁 さん
    (新潟県・公務員)
  • 村山 初美 さん
    (沖縄県・ピアノ講師)
  • 八木 伴江 さん
    (東京都・主婦)
  • 渡辺 多香子 さん
    (東京都・主婦)
  • 渡邊 忠春 さん
    (大阪府)
  • 渡会 克男 さん
    (千葉県・教員)

※ 受賞者の都道府県、学校名、学年、職業は応募当時のものです。

※ 基本的には応募作品の原文をそのまま掲載しておりますが、一部修正を加えている箇所がございます。ご了承ください。

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