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小学校

子どもの自信と意欲を育む学習環境を整えるために

高木 尚子 先生 | 北村 智子 先生

近畿 / 大阪

[私立] 大阪聖母学院小学校

高木 尚子 先生 | 北村 智子 先生

1.環境の変化と子どもの学力

 子どもの学力低下に対して、昨今世間で言われていることについては、本校の子どもたちを見ている限りでは多少の違和感があります。子どもたちの力が落ちていると言うよりは、むしろ子どもたちが生きている社会・環境が変わってしまったがために、以前であれば自然と身についていたことが抜け落ちている、と言った方が正しいのではないでしょうか。
 例えば先日、校内で焼き芋パーティーをやったときのことです。芋は苗から育てたものだったのですが、芋を新聞やアルミホイルでうまく巻くことができない子がいました。私たちの年代であれば、ほとんどの子が家庭で経験済みで簡単にできたと思いますが、今の子はなかなかそのような経験ができないのでしょう。マンションに住んでいればもちろん、庭付きの家であっても、最近は自由に焚き火をすることができなくなっています。そのような環境で育っているから、家庭では焼き芋などというものを経験できない。だから焼き芋の仕方も知らないのです。また、仮に経験できる環境であったとしても、準備は全部親がやって、子どもは出来上がったものだけを見ている、ということもあります。他にも、理科の授業でアルコールランプにマッチで火をつけさせたときに、マッチの擦り方が分からずに何本も折ってしまった子がいました。今までなら、仏壇のろうそくにマッチで火をつけるということは普通に経験していたはずです。これも、核家族化が進み、仏壇のない家庭が増えた結果だと思います。つまり、実体験に基づいた知識が抜け落ちているのです。このようなことは、子どもたちには何の責任もありません。社会・環境が変わっても、大切なことや身につけるべきことがあれば、我々大人が気づいて、それを経験できる環境を整えるべきです。

 もうひとつ、子どもたちを見ていて感じることは、コミュニケーション能力が足りないということです。これも環境変化に少なからず原因があるのかもしれません。
 ちょっとしたことが原因で喧嘩をする子がいますが、自分の思い通りにならないとすぐカッとなるなど、我慢できない傾向があります。これは一人っ子が多くなったことで、家庭で我慢する、という経験が不足しがちになったことが要因のひとつだと思います。兄弟姉妹がいれば、家庭内の関係の中で我慢するということを日常的に経験できますが、一人っ子の場合はそれがありません。また両親や祖父母からも大切にされ、望んだものはすべて与えられてきたケースも多々あります。これも、子どもに責任はないでしょう。まわりの大人が気づいて、適切な環境を準備すべきです。

 しかし、コミュニケーション能力の不足には、もうひとつ大きな要因があると思います。それは、「言葉が足りない」=「言葉を知らない」ということです。今の自分の感情をどう表現したらいいのか分からず、相手に理解されないと不満を募らせて、いわゆる「キレて」しまう状態になるのです。
 先ほどまでの家庭環境については、学校としては直接どうすることもできませんが、言葉の幅を広げ、自分の感情を豊かに表現できる力を身につけられるように、学習環境を整えることは、学校の役割だと考えています。そこで、本校では、言葉の力を向上させるための一つとして、日本語の語彙の中心である漢字学習に力を入れています。

2.漢字の学習方法

 本校の漢字学習は、「読み先習」を行っており、六年生までに学習する漢字を四年生までに終えるようにしています。そうすることで、教科書や本を読むことがスムーズになり、読書の幅が広がります。また、先に読めるようになるため、「書き」に対しての抵抗感が少なくなります。
 「書き」に関しては、各学年とも、十一月までには学習指導要領による学年配当漢字の学習を終えます。学年によって学習すべき漢字数が違いますので、一日に学習する漢字数に差はありますが、毎日何文字と決めてノートに練習していきます。このノートでは、とめ・はね・はらいを徹底し、その漢字を使った主語・述語入りの文を自分で考えて書かせます。また、高学年のノートには、漢字の下に意味を書く欄があり、自分で辞書を引いて書くようになっています。こうすることで丁寧に書く習慣がつき、漢字を単なる記号としてではなく、文脈の中で使える生きた言葉として覚えることができます。
 また、指導において大切なことは、低学年のときに、どれだけ根気強く、徹底して練習できるか、という点です。低学年のうちに身につかなかった習慣が、高学年になって身につくということはありません。低学年で身についていた習慣が高学年になると崩れてくることはありますが、一度身についたものは、崩れてもまた元に戻すことができます。ですから本校では、まずは低学年への指導を大切にしています。その一つの例として、漢字指導とは別に、入学式の次の日から日記を毎日書かせています。それも一字一字丁寧に書くように粘り強く指導します。このような指導の積み重ねにより、子どもたちは、丁寧に書く習慣が身につきます。

3.「漢検」導入の背景

 「漢検」への取り組みは、四年の選択授業で十人ぐらいの子どもたちが個人受検をしたのが始まりでした。本校では以前から漢字学習には力を入れていましたし、せっかく取り組むのであれば一部の子どもだけでなく全員で取り組んだ方がよいと考えて本格的に導入しました。
 「漢検」は、子どもたちにとって学習の励みになっていると思います。一年間の学習のまとめとして受検し、合格証書を手にしたときには非常に喜んでいます。今では一年に一回は受検することが保護者の間にも定着しているので、親子で一緒に取り組む様子も見られます。年々合格率は上がっていますが、これは毎年繰り返して徹底した指導を行い、問題集(協会発行『漢字学習ステップ』)を一人一冊持たせるようにしたからだと思います。子どもたちが一学年から積み上げてきていますので、学習の仕方が身についてきた結果だとも言えると思います。「漢検」への取り組みは子どもたちの自信につながっているとともに、私たち教員にとっても、自分たちの指導でどれだけ定着させることができたかをはかる指標となりますので、励みになっています。

4.「漢検」の効果

 「漢検」の効果は、「やればできる」という子どもたちの自信・意欲の向上に表れています。本校ではただ受けさせるだけではなく、一年間勉強した上で受検させていますので、「やればできる」「がんばっただけ成果がでる」ということを体得できるよい機会になっていると思います。
 また、範囲が狭いものではないので、短期間では勉強できません。日々の積み重ねが必要となり、計画的に勉強していく習慣を身につけることができます。「いつまでに何をどうすればいいか」ということですね。ですから、例えば実力テストのときなどにもその習慣が活きてきて、自分で学習計画を立てられるようになるのです。
 ここで注意しておきたいのが、このような基本領域の徹底については、学校が組織だって取り組まないと難しいということです。子どもたちが自ら進んでということはなかなかできません。また、できたとしてもさらに丁寧に、かつ、徹底して学習していくということは難しいと思います。

 「子どもが漢字に自信を持てるようになった」という声を保護者からいただいたこともありますし、社会的認知度が高い資格であるためか「漢検」を保護者もよく知っておられるので、合格級によって自分の子どもがどこまで漢字をマスターできているのかがわかって安心されるようです。学校としても学校便りに合格率などを載せ、子どもたちのがんばりや指導の成果を伝えるようにしています。
 もっとも、合格率が高くなってきているとはいえ、まだ100%ではありませんので、全員がそれぞれに応じた力を身につけられるように、全員合格を目指して、今後も丁寧に指導していきたいと考えています。


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。


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