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中学校

社会の中で生きていく力を育む

学校長 黒岩 和秀 先生

関東 / 埼玉

[公立] さいたま市立浦和中学校・高等学校

学校長 黒岩 和秀 先生

1.輩出したいのは「教養」を身につけた人

 本校は、平成19年4月に、60年以上の伝統・進学実績などを誇る、さいたま市立浦和高等学校と併設する形で、埼玉県では2番目、さいたま市では初となる、公立の中高一貫校として新たなスタートを切りました。初めて行われた中学校の適性検査の倍率はおよそ25倍と、市民の皆様からは非常に高い期待を寄せられています。まだ開校したばかりの若い学校ですが、その期待に応えるべく試行錯誤を繰り返しているところです。

 本校が育てたい生徒像をひとことで言えば、「教養」を身につけた人と言えると思います。「教養」といっても非常に幅広く、明確な定義は難しいでしょう。そこで本校では、育てたい生徒像を、具体的に以下のように定義しています。

・ 基礎学力に裏付けられた応用力をもつ個性ある生徒
・ 体験活動で培った奉仕する心をもつ、心豊かでたくましい生徒
・ 国際感覚をもち、グローバルな視野で物事を考えることができる生徒
・ 日本の伝統と文化を愛し、日本語を大切にする生徒

 本校は、体系的な教養教育を行う学校を目指しています。本校で過ごす6年間を、目先の大学入学のためではなく、社会の中で生きていく力を育むために過ごしてほしいのです。

2.「教養」を身につけるために必要な「基礎学力」と「体験」そして「哲学」

 本校が重要視しているのは、「基礎学力」の確実な定着と、さまざまな「体験」を積む機会の提供です。反復訓練によって必要な「基礎学力」を身につけた上で、机上ではないさまざまな「体験」を積むことが、やがて「教養」へと昇華していくと考えているからです。

 本校では、大学受験の対策技術を身につけさせるための指導は一切行っていません。中高一貫校というと、高校の後半を受験対策に充てるべく、学習内容を先取りするという学校も多いようです。本校では、当該学年で身につけるべき「基礎学力」を、確実に定着させることに注力します。生徒数が少ない(1学年80名)という特色を活かした「個に応じた指導」も重視していますので、定着の早い生徒が結果的に先取りになることはあるかもしれません。ですが、それはあくまで結果論であり、先取りすること自体を目的とすることはありません。

 「基礎学力」の中で大きな柱となるのが、「国語」「数学」「英語」だと考えています。後ほど述べる「Morning Skill Up Unit」で、その3教科に取り組んでいるのはそのためです。
 私は、その3教科のうち「国語」がとりわけ重要だと考えています。それは、大学時代の経験に由来しています。私の専攻は生物学であり、理系の大学に進学したのですが、その大学では1年次の必修科目に「国語」がありました。「理系の学校なのになぜ国語が必修なのか」と疑問に思っていたのですが、当時の恩師に次のように諭されたのです。「ものを読んだり書いたりするのが学習の基本であり、それは理系でも変わらない。人は言葉で考え、言葉で表現する。その人の思考や世界の枠を規定するのは、言葉である。」その時初めて、文系・理系に関係なく、国語力が全ての基盤なのだと学んだのです。
 その後、私は大学院まで進み、卒業論文は英語で執筆しました。その時も、やはり頭の中で考える時は日本語を使っていました。日本人にとって、思考力の基盤は日本語であることを、身をもって実感したのです。理系専攻の私は、「国語」はあまり得意ではなく、苦手意識も強かったのですが、日本語の読み書きは決して避けて通ることはできないものでした。

 また、本校では授業以外のスポーツや文化活動にも積極的に取り組んでいます。部活動はもちろん、体育祭や文化祭などの学校行事も盛んです。これはまさに、「体験」の場を数多く提供するためです。例えば、中学生も高校生と一緒になって部活動に取り組みます。そこでは、先輩との実力の差を目の当たりにして悔しい思いをしたり、素晴らしい先輩と出会って自分も成長したり...など、さまざまな「体験」があるでしょう。
 一度の「体験」が、百の書物に優ることもあるのです。本校の生徒には、できるだけ幅広い「体験」をして欲しいと考えています。そのためにも、「勉強だけ、部活だけ」あるいは「文系科目だけ、理系科目だけ」などと、自らの可能性の領域を狭めてしまうようなことはしてほしくありません。

 また、私がこれからの中高生にとって重要になるだろうと考えているのは、実は「哲学」です。「哲学」といっても、カントやデカルトなどの思想を学べというわけではありません。物事の考え方、論理的な思考法、自らの価値観のあり様、さまざまな視野・視点など、そういったものを身につけてほしいということです。これらを学ぶことが、「基礎学力」や「体験」を「教養」へと昇華させるための手助けとなると考えています。

3.「教養」を育むための具体的な取り組み

 私は学校運営を行うにあたって、「ベンチマーキング」が大切だと教職員に説いています。「ベンチマーキング」とは、「優れた実践事例を研究し、自校のやり方との差異を分析し、それを埋める手法」です。良いものであればなんでも取り入れよう、というのが本校のスタンスなのです。どの子がどの機会をきっかけに伸びるのか、学びが深まるのかは、やってみなくては分からないのですから。
 他校を拝見していると、「百マス計算」や「朗読・音読」など、効果があったと言われている指導法が数多くあります。それらの学校では、1時間目の前に朝学習として実践し、効果が上がっているようです。そこで始めた取り組みが、「Morning Skill Up Unit」なのです。

 「Morning Skill Up Unit」は、生徒全員に1台ずつ貸与されるノートパソコンなどを活用し、国語・数学・英語を中心とした「基礎学力」の向上と豊かな「教養」を育成するための取り組みです。第1時限目の日課として、月~金曜日の毎日、3年間に渡って実施します。毎朝60分間(各教科ごとに20分間)、集中して基礎基本の反復訓練を行います。
 この「各教科20分」という時間が大切です。生徒の集中力を持続するのに、ちょうど良い長さなのです。また、「毎日」ということもポイントです。まさに「継続は力なり」。中学の3年間、毎日基礎の反復練習を積み重ねていくということは、スポーツにおける筋力トレーニングと同じで、その後の飛躍への土台となることでしょう。「Morning Skill Up Unit」は、「基礎学力」と「教養」はもちろん、「集中力」や「継続力」も同時に育む取り組みなのです。
 とりわけ漢字・語彙の習得のためには、集中的な反復訓練を継続して行うことがどうしても必要です。そのためのモチベーションを維持するために、「漢検」を活用しています。「Morning Skill Up Unit」の国語の時間には「漢検」対策のe-learningコンテンツも活用し、「漢検」の団体受検も行っています。

 また、あらゆる機会を生徒たちの「体験」にできるように意識しています。例えば、高校の同窓会誌を中学生にも配布することになったのですが、その際に同窓会から「中学生向けに分かりやすい言葉を用いた方がよいか」と聞かれたことがありました。私は「そのままで構わない」と答えました。新しい言葉に出会うことも、ひとつの「体験」だと捉えています。
 感性の瑞々しい思春期の頃に、なるべく多くの言葉に出会うことは非常に重要です。私自身が生徒に向けて話をする時も、理解できる子は少ないだろうと思われる言葉でも、あえて噛み砕くことはしません。生徒たちには、新しい言葉に出会った時は、辞書を引く、誰かに聞くなどの行為を地道に行うよう指導しています。それもまた「体験」なのです。
 生徒たちの能力を少しでも上へ引き上げていくことが私たちの使命なのですから、私たちの方から降りていっては本末転倒ではないでしょうか。あらゆる機会を使って「基礎学力」を身につけ、「体験」を通して「教養」へと昇華させることが大切だと考えています。


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。


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