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高校

目先のことではなく、社会で必要とされる力を育成する

学校長 前田 朝輝 先生

関東 / 神奈川

[私立] 公文国際学園中等部・高等部

学校長 前田 朝輝 先生

1.社会のリーダーとしてグローバルに活躍できる人材を育成

 本校は平成5年に創立した比較的新しい学校です。一期生が卒業し社会に出て活躍する頃には、21世紀に入っているという時代の転換期に、その変化を見据えて学校を創立しました。そのため、21世紀の社会に求められる人材を育成するという観点から「社会のリーダーとしてグローバルに活躍できる人材」というビジョンを掲げ教育方針を定め、様々な取り組みに挑戦してきました。

1-1 『自立・自律型人材』
 「社会のリーダーとしてグローバルに活躍できる人材」とは、言い換えますと、一つには、「自分で考え自分で判断し、自分で行動できる人材」=「自立・自律型人材」となります。このビジョンの根本には公文式の理念があります。公文式の学習は自学自習が基本です。本校で取り組んでいる公文式学習では、いくつかの単元がまとまったところで、教師が指導やチェックテストを行っていますが、基本的には生徒が自分で学習ペースを決めて進めています。全ての学習過程の設計を自分で行い、当然、採点も自分で行います。中学生の早い時期に高校課程を修了する生徒もいれば、高校生になっても自己の学力の確認や復習のため中学段階の学習をしている生徒もいるのです。ゆっくり少しずつ進む生徒は、ワンステップずつスモールステップで進むことになりますが、実はここが重要です。生徒はそれぞれ、スタートラインも学習スピードも違います。ですから何も、全ての生徒が画一的な進度で学習する必要はないのです。このような考え方に基づくと、結局生徒が自分で考え、自分でペースを決めて学習しなければならなくなります。何をしたいか 何をするべきかを自分で考えなければならないのです。
 今の日本社会では、学習の結果を他人と比較するのが一般的です。結果を分析する指標として自分のテスト結果の平均点を算出して他と比べたり、順位付けをして全体の中での自分の位置を確認したりもするでしょう。しかしテストの平均点や順位などは、ただの結果に過ぎず、最も大事なことではありません。学習は結果ではなく、過程が最も大事なのです。本校では、生徒にこれを経験し理解してもらうために、数学の公文式学習を中学2年生まで必修にしています(国英は希望制)。
 このような本校の取り組みは、まさに、先述の「自分で考え自分で判断し、自分で行動できる人材」という輩出したい人物像と一致しています。「自ら目標を設定し、その目標達成に向けて自ら努力し、達成できたかを自ら評価し、また目標を再設定する。」こういうスパイラルを自分でまわせる人材に成長して欲しいと考えています。

1-2 『課題解決型人材』
 従来、日本の教育では、「与えられた条件下で与えられた正解を早く導き出すこと」が求められてきました。しかし、今の社会(日本)がグローバルに他国と戦い勝ち残っていくためには「何が課題であるか、その課題を自分で探し出す力」、そして「課題を自分で解決する力」、また、もし自分で解決できないとしたら「他者から協力を仰いで力を合せ、その解決に向かえる力」。このような広義の課題解決能力が必要だと考えられます。
 現在企業では、「HOW(やり方)を考える力」ではなく「WHAT(何をするか・するべきか)」「WHY(なぜそれをするか・何のためにするのか)」を思考できる人材を求めていると耳にしたことがあります。私もそれこそが仕事だと思います。「何をしたらいいですか?」と質問し、与えられたことをそつなくこなす人物ではなく、何をするかを考えられる人物。そのような人物を育てたいと考えています。
 結局、私どもが若い時に養成された力も、それは主として社会が要請した力でした。現代社会を構成している企業や官公庁などが、先述のような力を求めているのだとしたら、やはり学校は生徒たちのためにそれに対応していかなければならないのだと考えます。そして、このような『課題解決型人材』もまた、「社会のリーダーとしてグローバルに活躍できる人材」になるための必要要件の1つです。

2.自立・自律型人材/課題解決型人材を育成するための教育活動

 本校では行事や授業など様々な取り組みを通じて、先述しました『社会のリーダーとしてグローバルに活躍できる人材(=自立・自律型人材/課題解決型人材)』を育成する教育活動を行っています。この3年間、試行錯誤しましたがようやく体系化されてきたと感じています。以下、その具体的な取り組みについて述べたいと思います。

2-1 『寮生活体験』~多様性の受容能力の育成~
 まず、特徴的な取り組みの一つとして寮の有効活用があげられます。中学1年生は入学してすぐに全員が短期の寮生活を体験します。
 私立の中学校は、入学者が偏差値で輪切りされた均質の集団であることが普通です。しかし本校は、帰国子女も多く、また、中学入試でも推薦入試を実施していますので、一般入試を受験して入学する生徒は学年全体の半数程度しかいません。生徒たちが入学生として集まった時には既に、今まで彼らが属したことのない多様性のある一つの集団が形成されているのです。
 本校に入学する生徒達は出身校だけでなく、地域的にも、北は北海道から南は沖縄までとバラバラです。また、帰国子女も多数いますので、海外からも生徒が集まってきています。このように出身地や母語などがバラバラで異質な人の集団では、それぞれが独自の成長過程で育んできた文化的背景をお互いに理解することが、より必要となります。
 入学してすぐの寮生活体験は、ほとんどの生徒にとって初めての異質な他者を受け入れる経験になります。生徒たちには、将来、グローバルな社会で活躍することを期待していますので、この経験は非常に重要です。集団生活をする中で、新しい友人たちとの人間関係の中から、協調性や主体性、また異文化理解の基本になる異質な他者への理解の精神を学んでいます。

2-2 『OBS冒険型体験』 ~判断力、決断力の育成~
 中学2年生では、日本屈指の教育団体OBS(Outward Bound School)と一緒に野外冒険教育を実施しています。例えば橋の欄干からロープ一本で下まで降りる経験など、ふだんの生活や学校教育では経験することができない、自然の中での冒険を生徒たちに提供します。「私は無理。」などと言って、初めのうちは消極的な生徒もいますが、大自然の空気と、友人の活気に触れ、時間と共に徐々に積極的になっていきます。このような経験を通し、生徒の自ら踏み出す力(決断力・判断力)と、生徒同士の強い信頼関係(チームワーク)を育んでいます。

2-3 『日本文化体験』 ~交渉力、協調力、プレゼンテーション能力の育成~
 中学3年生では、いよいよ生徒たち自身が課題設定をする段階に入ります。日本文化体験という研修体験の企画を生徒が考え、その内容をプレゼンテーションしています。生徒たちは、自分たちが興味を持った日本文化を学ぶために、文化を体験できる場所やコースを一から企画し、企画したコースの魅力を他の生徒にパワーポイントを用いてプレゼンテーションします。その中で選ばれた6コースが実際の研修体験先になるという仕組みです。この取り組みでは、交渉力や協調力、プレゼンテーション力を養っています。
 本校の日本文化体験は、日本文化に触れることや集団生活を体験することだけを目的としていません。自学自習や自律学習を実現するという目的も兼ねています。旅行先に行っても生徒は現地の生の情報から課題を見つけ出し、環境 経済、国際などのテーマを設定して毎日討論します。そこで話し合ったことを学校に帰ってきてから論文にまとめるのです。長編の大作もあれば、すっきりとまとまった短編のものもあり、内容も様々です。しかし、どの論文も非常に迫力があります。旅行先での実体験を素にして書かれているからでしょう。日本文化体験は平成19年度で3回目になります。この行事を経験した生徒たちはまだ社会人になっていませんが、中学生の多感な時期にこのような体験を持ったことが将来生徒たちにどのような好影響を及ぼすか非常に楽しみにしています。

3.「基礎学力」の基礎となる「母国語の力」と「基礎的な数学の力」

 「基礎学力」を定義するならば、広い意味で捉える必要があろうかと思います。授業で教えることのできる知識だけを身につけたとしても、それだけで「基礎学力」が身についたとは言えないと思います。(もちろん、授業を通して、必要な知識を身につけなければならないのは言うまでもないことです。)本校では、ここまで述べてきました、『社会のリーダーとしてグローバルに活躍できる人材(=自立・自律型人材/課題解決型人材)』に必要な「多様性の受容能力」、「判断力」、「決断力」、「交渉力」、「協調力」、「プレゼンテーション能力」これらの全てが「基礎学力」に含まれると考えています。そして、これらの力の基礎となるのが、「母国語の力」と「基礎的な数学の力」です。社会に出るまでに必要なこの土台となる部分は、全ての生徒にしっかりと身につけさせなければなりません。本校では中学1年生の授業時間は基礎教科である国語、数学、英語で、約6割を占めます。ここからも本校が基礎教科をいかに重要視しているかがお分りいただけるかと思います。

 本校の卒業生たちは、大学で、またその先の社会で、中学・高校で身につけたことを土台にして活躍しています。その活躍ぶりは、意識して情報収集しなくても自然と耳に入ってきます。卒業生たちが、実社会でそれぞれの道に進みながら活躍してくれているのは、中学・高校で「大学に入るための力」を身につけたからではなく、その先まで見通した力、つまり「基礎学力」を身につけたからだと信じています。

 現実的な社会問題として、生徒が大学に入ることを目標に教育方針やカリキュラムを設定してしまう学校が多いと聞きます。必死に受験勉強をして、東大に入学した学生が5月病になってしまうということを聞いたことがありますが、それは、大学に入るという手段を目的化してしまったことが原因の一つだと思われます。大学に入学することは、将来、成し遂げたいことのために選択し、短期的な目標として設定したに過ぎません。しかし、いつの間にかそれが目的になってしまい、試験に合格し入学した時点で燃え尽きてしまったのでしょう。人生のゴールはそんな手前にあるものではありません。
 先に述べたような本校のさまざまな取り組みは、すぐに大学進学実績のような分りやすい結果に結びつくことはありません。しかし、それで良いと思っています。なぜなら、学校における取り組みの成果とは、それを経験した生徒が社会に出てから数年間かけて評価されるものだからです。生徒一人ひとりの本当の自己実現のために限りない支援をする、これが本校の姿勢です。


※掲載内容(所属団体、役職名等)は取材時のものです。


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