特別賞

中野 清香さん(長崎県)

戦時中、補給も途絶して悲惨な東部ニューギニア戦で、連隊本部の書記として、事務に携わっていたが、上陸直前に乗船が沈没し、事務用品や私物など一切を海没し、辞書がなくて苦労した。軍司令部に命令受領に行くと、机の上に表紙も取れてボロボロの辞書があり、それを見せてもらうのが楽しみであった。それ程までに活字に飢えていた。命の恩人の戦友の殆どが生きて還れなかった。命令を書く度に一緒に苦労した彼等に真っ先にこの受賞を報告したい。応援してくれた子供や孫たちも喜んでくれた。

小学校でも漢字の書き取りは得意であった。86歳で仕事から解放され、読書三昧の日々を送っていた。その内に毎年の誕生日に子供からの贈り物として、漢字パズルと数独の本が届くようになり、読書の合間に趣味として今でも続けている。一昨年子供から漢検の問題集が贈られ、受検を奨められて勉強を始めた。生憎その頃から手が震えて文字が書けなくなったが、何とか工夫して続けてきた。模擬テストの結果も良く、些かの自信を以って臨んだ受検であったが、思うように文字が書けず失敗。2回目の準二級と次の二級で合格したものの矢張り文字が思うように書けず無念であった。

受検の問題集で勉強している時に感じたことは、これまでいい加減な漢字を書いていたと思うことであった。お陰で細かいところまで注意して書けるようになった。今では手の震えも文字を書き続けていると、震えは止まっている。また何故か晩酌のあとで日記を書く時は、以前のように支障なく書けるので、手紙などはこの時を利用して書いている。こんな所にも酒の効用があり、ありがたい。

年を重ねる毎に体力は衰えてゆくが、脳の働きは変わらないと思う。これからも霞みがちな眼を労りながら、読書や漢字パズルと数独の難問に挑戦していきたい。頭だけでなく、手や指を使うことで、呆けを防止することになると思う。

※インタビューは書面にて行いました。
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